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ひきこもり探偵の鳥井真一のシリーズ第二作。 前作に引き続いて「鳥井真一」がホームズ役、友人で語り手の「坂木司」がワトスン役をつとめる、日常の謎をといていく連作短編集です。主人公の鳥井がひきこもりで坂木を主軸にした人間関係しか描けないという特殊設定を活かした本シリーズ、今作でもその特殊設定を十分に引き出せる対人関係がらみの謎解きを前面にだして物語を展開しております。 夏、秋、冬と季節ごとに一編ずつ話が進み、それぞれの話での登場人物や事件が次の登場人物や事件とつながり展開していく構成の妙も、一つ一つの話の完成度もあいかわらず高いです。わけても、徐々に徐々に真一のひきこもりが緩やかになり、少なくとも対人関係においては、圧倒的に坂木主体、坂木との関係でしか関知しないものの、それでも外界とのつながりを持とうとしていく姿に思わずぐっと拳を握りしめて応援してしまいます。口調や喋り方、価値観の置き方にはまだまだ問題があるかも知れませんが、徐々に回復しています。彼は、小さい時に母親から完全に放棄され、父親との縁も薄く、またいじめにあっていたという過去のせいで完全に精神バランスがおかしい部分が残っていたのが、徐々にそれが取れていく姿は、簡単な言葉で表してはいけませんが感動を与えていると思います。 ただ、ちょっと気になったのは巻末解説の有栖川有栖さんの解説。 この鳥井真一のキャラについて「どうしても好きになれない」、また「好きになれないように設定している」という趣旨のことを書かれています。となると、自分の説明だったり感想というのはかなり彼の読み方と離れているんですよね。ブログ書評の中でも「坂木」の性格についてつっこまれているのはよく見かけますが、鳥井については否定的に書かれているところをあまり見ていなかったのが盲点で気付きませんでしたが、やはり読む人によって感想や見方はずいぶんと違うのだという事を再度認識致しました。ひょとしたらこの評価は自分がずいぶんと昔にカウンセリング的な仕事をしていたのと関係しているかも知れません。なので、このレビューはあくまでも個人的な感想になっていますが、その個人的な感想ではこの物語は非常に完成度も高い心温まる作品だと思います。 あと必ず前作の「青空の卵」から読むことをお勧めします。
2003年に出た単行本の文庫化。 全三部作の第2弾。3つの短篇が収められている。 こういう作品は苦手なはずなのだが、なんとなく読み進めてしまっている。ミステリとしては無理が多く、ご都合主義的としか思えない部分も少なくない。謎そのものにも興味をそそられないし。 やはり、異様にもろそうな人間たちをてらいなく描いているところが面白いのだろう。人数も増え、ふくらんでしまった人間関係がどう収束するのか。完結編『動物園の鳥』も読んでみたい。
本文は採点不能、そして巻末の有栖川有栖氏の解説は★5つ。 間を取って★3つの評価をさせていただきました。 ひきこもりの青年が日常の謎を解くシリーズの2作目。 ミステリーというのはもともとあり得ない舞台を設定するものではありますが それにしてもこれはすごいです。 いい年した大人たちが少年少女のようにキラキラうるうると語り合い ひきこもり探偵鳥井君に真相を見破られた犯人(?)はすぐさま心を開き そこから生まれた善意の渦の中で、探偵自身も少しずつ成長していくのです。 あり得ない。いや、だいたい鳥井君の仕事のプログラマーにしろ、親友の坂木君の保険外交員にしろ こんなに優雅なのだろうか?特にプログラマーのほうは(仕事してるシーンは出てきませんが)、絶対あり得ない。 そんな違和感を抱き、また探偵の鳥井君を好きになれなかった自分ですが 文句言いつつシリーズ2作目まで読んだということは、自分は明らかにこのシリーズに何らかの魅力を感じ、引き付けられているわけです。 いったいこの小説の、このキャラクターの、どこに面白さを感じているのだろう。 我ながら不思議だったのですが、有栖川氏の解説で腑に落ちました。 本書の中で、この解説が一番の謎解きでした。 人間関係に傷つき人との絆を求めている人には、ある種の癒しとなる小説かもしれません。 単純にミステリーが好きな人も、ちょっと毛色の変わった日常の謎系短編集として楽しめると思います。 ボーイズラブが好きな方も、もしかしたら趣味に合うかもしれません。 そして私のようなひねくれたタイプの人にも、この違和感を味わうために、試しに読んでみませんか?とあえてお勧めしておきます。 なお、前作のネタバレがけっこう出てきますので、 お読みになる方は、前作「青空の卵」から読まれるほうがいいです。
シリーズの2作目. 主人公の『引きこもり探偵』にわずかな成長がありましたが, 回りの人たち,そして話の流れは相変わらずの甘いものでした. 特に相棒の『詩的』なひとり語りは『キレイ』ではありますが, 前作同様にうわべだけのようで感じるものがありません. 主人公と相棒の『関係』も含めて,最終作となる次作でどうなるのか, これまでのご都合主義の流れから,少し不安に感じてしまいます. 謎については,今回は少し強引な印象です. ただ,冒頭に出てきたちょっとしたトラブルが, 後半になっていろいろと関わってくるのはなかなか. わかりやすい伏線とその回収は気になりましたが…. なお,1作目で登場した人たちが重要な役でまた登場しています. そのため,順に読んだほうが人間関係の理解もできてよいと思います.
前作に引き続き、引きこもり探偵が日常に起こるちょっとした出来事に 明快な答えを出してくれるこのシリーズ。 2人の濃い関係もいい。2人をとりまく周りの脇キャラもたってて、 輪がどんどん広がっていい感じです。