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1992年(講談社、単行本)→1996年(講談社、文庫本)→本書。 柚木草平シリーズの第3弾。 「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の3篇が収められている。 初期の作品に比べると、ものすごく読みやすくなっている。『彼女はたぶん魔法を使う』あたりで辟易させられた人も、本書なら大丈夫だろう。 女性の恐さが著者のテーマなのだろう。美しかったり、気だてが良かったり、可愛かったり、それぞれ魅力的に見える女性たちが登場するのだが、事件を調査していくと、その醜さや恐ろしさに突き当たってしまう。それでも、男性は女性に繰り返し惹かれてしまう。ただ、本書ではぎこちない部分があるような・・。 ミステリとしての出来はいまいち。
「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の3つの中編。 雨編では、原宿の総合スポーツ・クラブの美人オーナーからの依頼が、とんでもない方向へ発展する。オーナーの美しい義理の妹、爽やかなスポーツ・インストラクター、と美人も次々登場。「いい女の多すぎるこの東京自体が、おれにとっては地獄」と嘆きながら柚木は捜査を進める。 風編では、人気女優が失踪。美人マネージャーにコーヒーをかけられ、「フィリップ・マーロウも、リュウ・アーチャーも、そんなことで文句は言いません」と開き直られながら、過去をいっさい公表しない有名女優失踪の謎に迫る。 光編では、清潔な笑顔がまぶしいブティックの美人オーナーの所へ、死んだはずの夫から手紙が届く。夫の生死を確かめようと手紙の謎を追う柚木に、もちろん、いつもの「病気」が出る。が、今回は「病気が本物になりそう」で、恋の片鱗がチラホラ見える。3編の中ではこれが一番いいように思う。著者は、 3編を通して(これは著者の癖なのかもしれないけれど)犯罪の遠因ともいうべきものに相通じるところがあって、そこに少し無理を感じます。でも、推理は面白く、柚木草平の「生態」も相変わらずの魅力です。
シリーズの3作目,3本の中編集になります. 前作では,やや空まわりに感じたセリフがうまくまわり, 主人公の憂鬱(女性やお金)とともに,テンポよく楽しめました. また,トリックというか,謎がやや前に出ているようで, 主人公が解決していくため,大きく悩むことはないものの, ちょっと考えたりと,いつもと違うおもしろさもあります. ちなみに,3本とも『○の憂鬱』というタイトルなのですが, その意味や指すところが,なかなか深くてむずかしいです. 読みながら,読んだあとに,いろいろと考えてみてください. 復刊の文庫なのに,いつもあとがきを書く著者にも好感.