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☆☆☆☆は、シリーズのファンとしての評価。 シリーズを読んだことがない読者にとっては、この評価は高すぎと 感じるかもしれない。 女と見ればすべて口説こうとする永遠の38歳、元刑事でフリーライター兼探偵の 柚木草平は、過去のシリーズではいずれも物語の語り手だった。 彼の少し斜に構えたものの見方や、他人(とりわけ女性)とのリズミカルでお洒落な 会話が楽しめるのがシリーズの魅力でもあった。 今回も、謎を解くのは柚木草平なのだけど、視点はどちらかというと彼以外の 登場人物、特に女子大生の鈴女をメインで追う。 そのため、シリーズのファンとしてはやや物足りない。 その半面、他者の目から見た柚木草平を観察できるという、これまでなかった 楽しみがあるのだ。 ただ、なんとも特殊な鈴女のキャラといい、相変わらず織り込まれたラブロマンスといい、 容疑者を次々と浮上させておいて最後は意外な犯人というミステリの醍醐味といい、 しっかり作られた佳作だとは思う。
復刊の文庫版4冊目(シリーズとしては5作目)です. メインがいつもの探偵ではなく,女子大生になっているため, シリーズの『ウリ』のはずの,女性たちとのやり取りが少なく, セリフまわしや,軽いコメディタッチが楽しめないのが残念です. 探偵のほうも,まったく出ないわけではないのですが, 代わりの主人公である女子大生がおとなしい性格ですし, 事件や個性的な登場人物などで読ませる作品ではないぶん, 淡泊になったというか,地味めになってしまった気がします. あとがきのとおり,彼女の視点で語られる探偵は新鮮でしたが, ロマンスのほうも,取ってつけたようなありきたりな感じがして, 別作品としてならまだしも,シリーズ作と名乗るには物足りません.