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単行本(講談社,1997年)→文庫(講談社,2001年)→本書。 柚木シリーズの第2作。長編。 今回も憂鬱な事件だ。捜査が進んで行くに連れ、暗い気持ちになっていく。そして今回も俎上にのせられるのは、女性というものの怖さ、複雑さ。でも、魅力的なのだ。柚木の単純さや純真さとも対照させられ、果たしてどちらが良いのだろうと考えさせられ、不安になる。 まだまだハートボイルド調の強い時期の作品で、読んでいて吹き出してしまう場面も。
東京創元社からの復刊版,第2シリーズの2作目です. やや毛色の異なった近作と違い,ひさびさに正統派と言える内容で, 主人公と彼を取り囲む女性,そしてそのやり取りが存分に楽しめます. ただ,物語のきっかけとなる事件が,著者の他作品たちと似ていて, 著者の作品を読んでいる人には,流れが読めてしまうのが少し残念で, 犯人捜しの作品ではないのですが,もうちょっと考えてほしかったです. とはいえ,序盤でなにげに触れられていたアイテムを使うアリバイ崩し, 相手のプライドに訴えながら,相手を切り崩す終盤はなかなかおもしろく, その場所や淡々とした口調には,いかにも主人公らしい格好よさを感じます. また,タイトルはとある人物が口にする言葉が元になっているのですが, その人物だけでなく,事件の被害者やほかの人たちにもあてはまるようで, 素敵なタイトルの多い著者の作品の中でも,また特別な印象を残すものです. なお,復刊の今回と刊行当時では作品の順番が違っているのですが, このことについては,巻末の解説の中でおもしろく触れられています. また,著者のあとがきにも当時のユニークなエピソードがありますので, できればすべてを読みおえてから,目をとおされることをおすすめします. ちなみに初出は97年.作中に登場するアイテムに時代を感じるのも一興です.