主人公の猫が死んじゃって、どうなるの?
『トマシーナ』それは、この本の主人公(?)の猫の名前。
この猫が「語り手」となって物語が進んでいくのが、なんとも面白い。
しかし、この猫、あろうことか、途中であっさりと死んでしまう。
そして突然、別の猫が「語り手」となって物語が続いていくのだが...正直言って私は、この主人公の猫ちゃんが死ぬ場面までは、
『あ~ 退屈な本』と思った。
しかし、猫の死後あたりから、グイグイと物語に引き込まれていく。
読者は、まんまと、原作者ギャリコの手法にのせられてしまうだろう。
ちょっと『かったるい言いまわし』や『クドクドと続く表現』が
知らず知らずのうちに、快感にさえ変わっていく。
そして、読み終わった後は、『あ~ いい話だった』と、快い気分に
ひたれる事になるだろう。
医者になる夢を絶たれ、妻を亡くした獣医マクデューイは
神をも信じられず、動物への愛情も持てない。
そのひとり娘のメアリー・ルーは、母を亡くした寂しさから
飼い猫のトマシーナを何よりも可愛がっていた。
が、父は愛猫を安楽死させてしまう。 愛猫を殺されたことで
心を閉ざしてしまう娘は、気の病で次第に衰弱していく...
この状況を、救ってくれるものは誰か?
そして物語は、父と娘と、その取り巻きの人々の心の動きを
細やかに綴りながら、ハッピーエンドへと向かっていく。
ポール・ギャリコの傑作である。
(猫好きの方には、猫の気持やしぐさの描写が、たまらなく愉快だろう)