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新聞の時代錯誤―朽ちる第四権力

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新聞の時代錯誤―朽ちる第四権力の商品レビュー

3.0 新聞業界の閉鎖性を糾弾する一冊
高杉良「乱気流」で著者を知り、「日経の黒い霧」からの連読。
著者は日経の元敏腕記者でしかも部長職まで勤めた人物だけに、新聞業界に関する見識と現状への問題意識が高く、本書でいわば「告発」している新聞の「時代錯誤」への指摘・考察は深いものがあります。
特に5章〜8章にかけては、戦後の新聞業界を取り巻く環境(独禁法特殊指定などの法制度)の変化の経緯が細かく解説されていて、大変ためになります。当初は他の製品との抱き合わせでタナボタ的に適用された再販制度が、結果的に業界の既得権の象徴となっているあたり、自らを変革できない「日本的なもの」を新聞業界に感じてしまいます。このような体質の業界に真のジャーナリズムは期待できるのでしょうか?
ちなみに、日経VS大塚氏の戦いについては私は大塚氏を全面的に支持しますが、その前提で本書に一言。本書では日経の社内株式保有制度の瑕疵について、細かい法解釈議論を展開しながら指摘し、日経の体質を批判していますが、重箱の隅をつつきすぎているような印象を受けました。新聞業界についても「錯誤」を指摘するだけでなく、今後どうしていけばいいのかという視点を期待したのですが、最後にほんの少し書かれているだけ。「日経の黒い霧」と併せて読んだためか、著者の日経批判もなにか私怨を晴らすためのような気がして少し食傷気味です。
著者ほどの経歴と経験、知識があるなら、いつまでも日経批判本でメシを食うのでなく、そろそろ「あるべきジャーナリズムの姿」を提起するような前向きな著作を期待したいのですが。
4.0 日経の問題点
 戦前、毎日新聞は、高学歴、高所得、財閥、海軍、欧米寄り、都会的な朝日新聞に部数競争で勝つため、農村、アジア、苦学そして陸軍寄りの姿勢をとり、最後は陸軍のお先棒をかつぎ、日本を戦争そして敗戦に導きました。
 戦後の新聞業界で、日経新聞が、売らんがために、魂を売り渡し、偽情報を乱発して恥じることがなく、第二の敗戦といわれる戦後経済の破綻を招いた主犯であることが、この本を通じてはじめてわかりました。
 戦前、毎日に追従してしまった朝日、読売が、今度は日経に追従し、一緒にネットサービスANYをしているのは、情けない限りです。そんな視点を持てたのもこの本のおかげです。
 昔、大企業の役員から、ウォールストリートジャーナルやフィナンシャルタイムスと比べ、日経の記事の確度が低く困ると聞かされたことがありますが、この本で内情を知り、なるほどと思いました。
 大変、示唆に富む本です。
4.0 規制緩和と情報開示は、まず櫂から始めよ
著者曰く、時代から取り残され、規制緩和が一番求められて
いる業界は新聞業界なのだと。この指摘に強く賛同します。
再販制度や記者クラブという前代の規制制度に守られており、
改革の話が俎上に上がった際には、言論の自由と盾に業界
が一致団結して反対の大合唱。政治家や役所、一般企業に
対して事ある毎に情報開示や構造改革を煽る新聞社は、非
上場であることを盾に自社の経営情報は全く開示されていな
い実態。規制緩和と情報開示という文言は、新聞社にお返し
したいと思います。まずは櫂から始めよ。
余談ですが、名古屋女性拉致強盗殺害の容疑者の一人は
朝日新聞の新聞拡張員でした。各社が朝日の名を報じたの
に対し、当の朝日は単なる新聞拡張員の文言でお茶を濁し
ました。文化大革命がリンチ殺人であった本質を知りつつも
賛美し続けた朝日の隠蔽体質は変わってないと感じました。
4.0 大新聞のやりたい放題はいつまで続くのか?
著者は日経の株主として2003年の株主総会で、私物化の限りを尽くした鶴田氏の解任を提案した。だが、日経はその彼を懲戒解雇したのだ。

著者も懲戒解雇撤回の訴訟と、子会社の不正経理事件でこうむった被害100億円の損害賠償を求めて株主代表訴訟を提起した。

結局鶴田社長は会長だけでなく相談役も退任したことから和解し、著者は復職を果たす。


日経新聞が現経営陣によって私物化されている現状の告発が主体となった本だが、全体的にはタイトルどおり新聞という権力への批判となっている。

社会の木鐸たる新聞社のあまりの閉鎖的な現状に、改めて驚きあきれるばかりだ。

「第四の権力」などといわれるが、それを担うのは国民から付託を受けたわけでもない、民間企業の偏差値秀才たちだ。

今まで、競争原理にさらしたり、株式の流動性を高めて株主によるチェックを働かせようという試みはすべて失敗している。そのたびにヒステリックなキャンペーンを繰り広げる。

つまり彼らは何の外的統制も無いままに権力だけを行使しているということなのだ。許されることだとは私は思わない。

ネットの進展によって、新聞が世論を誘導すること、あるいは新聞のやりたい放題はどんどん困難になっていくと思うのだが、新聞という権力のやりたい放題はしばらくは続くのだろうか。

公取委の竹島委員長の「この問題が消えてなくなることはもうない」という言葉に期待したいところだ。
5.0 再販制度の経緯だけでも一読の価値
言うこととやることが違う。
最近、新聞に対してそんな感じを抱く人もいるのではないか。

著者によれば、それが日本の新聞というもので、ジャーナリズムとは無縁、
その体質は戦時下の言論統制、1940年体制が起源であるらしい。
地方紙の一県一紙という妙な不文律もそれ以来だという。

また、社説では舌鋒鋭く対象を批判するのに(例えば説明責任など)、
自身に問題が起きた時には何故か同じ論理は適用されない
(朝日のNHK番組改変報道をめぐる自己検証記事が好例)。
問題の数々は枚挙に暇がないが、
それらは全て「言論の自由」という錦の御旗のもとに
新聞社が普通の会社になることを拒んできた結果といえる。

2006年に新聞業界を慌てさせた、
再販制度における特殊指定見直しの問題。

新聞のなりふり構わぬ見直し阻止の動きは、まさに暴挙であった。
紙面を反対意見のみで埋める、支配下にあるテレビも同調させる、
最後に政治家を巻き込んで、独禁法改正をちらつかせることで
公取委を屈服させたことには怒りを覚えたものである。

再販制度とその中の特殊指定とはどのようにして始まったのか。
本書ではその経緯が詳しく述べられていて、貴重である。
再販制度の件は、
そもそも言論の自由だの宅配制度維持などとは関係なかったことがわかる。


自らの変革を否定し続けることで、「時代錯誤」となってしまった新聞。
著者は普通の会社になれと叱咤するが、
果たして新聞自ら変わることができるのか。
外からの圧力なしには変わらないような気がするのである。

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