帰納法的経営戦略論
経営理論というのは、特に日本の場合、机上の理論構築だけだったり、トヨタ、ソニーといった個別企業の事例を取り上げて無理矢理普遍化しようという傾向が強かったりするのですが、本書は複数の日本企業へのアンケートや聞き取り調査といった地味なリサーチ結果をベースに、そこから浮かび上がる問題点を理論化する手法をとっており、帰納法的なアプローチとして興味深い内容となっています。データベースがやや手薄かなとも思えますが、こうしたアプローチの嚆矢としてはよくまとまっている印象を持ちました。また、論点もコーポレートガバナンスからイノベーションまでいろいろな切り口で論じられており、示唆に富んでいます。
中でも最近注目されている分社化やグループ経営の見地から、「子会社のガバナンス構造とパフォーマンス」(伊藤秀史他)による、権限・責任・モニタリングの関係の分析が実用的でもあり、大きな関心をもって読めました。
良くまとまっているが・・・
現在のような、まさに「変革期」と言える時代の中で
日本企業について良くまとめた、気鋭の論文集と言える。
全てを読むことがもちろん良いと思われるが、
章ごとに著者も違い、内容も幅があるので、
関心のある章に絞って、つまみ食いするのもいいだろう。ただ、個人的には流通分野などの取扱が欲しかった。
広く全般的なことか、製造業に絞られた部分についての論文が多いので
大変な変革を迫られているという意味では
日本的流通も十分、取り扱われてしかるべき分野だと思うのだが。