市場の魔術師の興亡
1949年にA.ジョーンズが創設したヘッジファンドの興亡を、その道の3巨匠の一人タイガー・ファンドのジュリアン・ロバートソンの伝記を通して語っているのがこの本。 ヘッジファンドについては、1992年£暴落を策してイングランド銀行を破産に追い込んだソロスと英国政府との激しい攻防を、ロンドンで目の当りにしていたが、その後のアジア通貨危機や逆に通貨システム崩壊の一歩手前まで行ったLTCMの破綻等その強大な影響力を見せ付けられている。
ロバートソンの真髄は、「バリュー投資法」――潜在成長力が高くてフリーキャッシュフローを生み出す実力がありながら無視され過小評価されている株や商品を購入し、高くなり過大評価された時点で売って利益を確保する方法である。その為には、あらゆる手法を駆使して徹底的に銘柄を分析し、長期に亘って驚異的な運用実績を上げ続けた。
しかし、IT革命とそのバブル・テクノロジー株の狂気により完全に株式市場が変質し、バリュー投資法の継続が裏目に出て運用が悪化し、出資者の投資資金の回収が急で、同時に大企業化した経営が時代にキャッチアップできずに、結局タイガーファンドを閉鎖――この顛末が実に示唆に富んでいて面白い。
ロバートソン学校(?)を卒業した元部下タイガーカブズ達のヘッジファンド市場での活躍、ロバートソンやソロス達ウォール街紳士達の慈善事業等話題も豊かで面白い。何が変わり何が変わらないのか、時代の変遷の中でどのように株式市場に対峙すべきかその教訓を得た。