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島田荘司がミステリー作家志望者を相手に行った質問会の記録と、日本のミステリー史をテーマとした講演録です。 後輩作家の育成とミステリ執筆を通じた日本社会の変革に、熱心に取り組んでいる島田荘司の思想が伺える 好著と思います。 質問会記録の大部分を割いて説明されている原稿の具体的な書き方(縦書き横書き、ワープロ原稿、字下げなど)は、 ミステリ作家を目指していない方にとっては退屈な部分と思われますが、作家志望の方にとっては 今更聞けない質問集であり実際の執筆で役立つのではないでしょうか。 質問会部分「トリックの着想」は、ネタに困る作家の卵たちにとって参考になると思います。 また、「創作の精神」では、島田ファンに対して各作品の根底に流れる島田の社会に対する意識が改めて 明確にされるのと同時に、彼が使命感を持ってミステリーを書き続けていることがわかって創作の励みになると思われます。 講演録部分では日本のミステリーの歴史と特徴が語られます。自分がこれから何を書くべきか、書かざるべきかを、 先人の著作に倣うために必要な知識であると思われるため、非常に興味深く読みました。 著者の主張には首肯できる部分が多く、各所にちりばめられているエッセンスは非常に重要です。 特に、伝統的に日本人に欠けている論理性を身につけるためにミステリーが普及すればよいという考え方には、 深く共感しました。難点を言えば内容に重複があります。インタビュー、講演録というこの本の構成上 仕方がないとも言えますが、読者である未来のミステリー作家に「構成力」を期待するからには、 自身この本の構成にも気を遣うよう編集者に指示すべきだったのではないでしょうか。その部分のみ改善を望みます。 よって星4つ。