古くて新しいビジネスの考え方
ビジネス書としては、「古典」に分類される(1993年出版)ものですが、
内容は色あせない原理・原則が中心で、経営に興味がある人には必読です。
内容面では☆5つですが、文章がやや冗長なので、☆4つにさせていただきました。秀才型組織は分業を進め、プロセスが複雑な官僚型組織となりがちである現在、分業をできるだけなくし、プロセスがシンプルな「原始的組織」にすることの重要性を主張します。
文庫版出版にあたり、追加された三枝氏による解説も秀逸。
以下は、本編の中で私が印象に残ったポイントです。
●「どうしたらこれを早くできるのだろうか」「どうしたらこれをうまくできるのだろうか」「どうしたらこれをより少ないコストでできるのだろうか」などということではなく、「そもそもなぜそれを行うのだろうか」を問うべき
●組織をリエンジニアリング(=リストラクチャリング)するのではなくて、ビジネスプロセス自体をリエンジニアリングすべき
●アダム・スミス以来の分業による効率性を追求することは、プロセスを複雑にし、結果的に競争力を弱める。リエンジニアリングによって、複数の仕事を一つの人・場所にまとめ、プロセスをシンプルにし、競争力を強める。
●従来タイプの上司が行ってきた監督・監視・管理・点検という業務は、人から人へ、部門から部門へ仕事が移ることによって発生するが、付加価値を生まないものである。リエンジニアリングによって、そのような業務は激減する。
行政官庁改革にこそ必要だ!!
本書は既に古典とも称される書籍で、今となっては、民間企業ではビジネス・プロセス・リエンジニアリングなど当たり前となっているかもしれません。
しかし、行政官庁は、本書で指摘されている、いわゆる「持病」をいまでも引きずっている始末です。 行政では、係が室になり、室が課になり、課が部になりといった、組織の細分化を至上価値とし、それをなし得た者がエリートと称されるのです。そのような組織の問題点は本書に指摘されているとおりで、お金の無駄遣い、仕事の遅延化を招いています。
今、公務員に能力主義による人事評価を導入する見解が出されていますが、上記のような価値観で能力評価されたとしたら、どうなるのでしょう。本当に国民のことを考え、最小限の支出で最大限の効果を出そうと努力する公務員は、評価などされなくなってしまうでしょう。
行政官庁にこそ、最も必要な書籍です。