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波乱の時代 特別版―サブプライム問題を語る

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波乱の時代 特別版―サブプライム問題を語るの商品レビュー

4.0 ★グリーンスパン v.s. ソロスの思想を理解する一冊
本書は2008年春に米国出版された『ソロスは警告する』に対して、その直後にグリーンスパンがこれをかなり意識して反論を含めて出版した、というのが真相ではないだろうか?(『ソロスは警告する』のなかで、ソロスは住宅バブルの責任をグリーンスパンに帰している。また、エコノミストとしてのグリーンスパンは尊敬しながらも、金融当局者としては市場原理主義や自由放任主義に偏っていたと批判している。)

一方、グリーンスパンは本書で本編(上下二巻)同様、市場主義経済や規制緩和による経済の効率性を掲げて基本的な信条は一歩も譲らない姿勢を見せると共に、今回の金融危機に始まる世界的な恐慌の様相に対しては、100年から50年に一度あるかないかの不可避な事態であるとの諦めや、ある種容認とも取れる考えを述べているように思う。また、その原因は市場関係者のリスク管理の甘さや、人間の構造的欠陥とし、極めて稀な事態に通常から備えておくことの経済的不合理性にも言及して過去を弁護している。(最近の米国議会の公聴会では判断の誤りを認めたと伝えられているが、本心なのかどうか?)

もっとも、後から結果だけを見て過去のグリーンスパンの行為の責任を追及するのはフェアではない。また、グリーンスパンの主張するようにショックを吸収する柔軟性と流動性を今後の組織に求める点は異論ないし、行き過ぎた規制強化の有害性も同意するが、果たして前代未聞の今回の危機が従来の延長線的な対応策で回避出来得るのかどうかは定かでない。今後はプレーヤーである市場関係者も、規制を行う当局側も、相応の学習効果を発揮すべきと思うが、当面する社会的危機に対しては、激痛を一時的に緩和するモルヒネ療法や、場合によっては緊急大手術が必要となってくる気がする。杞憂に終わることを願う。例、国際的なモラトリアム、住宅の一部国営化、私有権の制限、etc.

いずれにせよ、78歳のソロスは今回の危機は『ひとつの時代の終わり』と表現し、82歳のグリーンスパンは『危機解決後の世界は経済面で現在とは大きく違っている』と予想している。少なくとも現状からの大きな変化を予想している点は共通しており、そのような激動の時代をどう乗り切るか、世界の両巨頭の意見に我々は十分に耳を傾ける価値があるだろう。
2.0 訳者のフォローが笑える
私は経済に関して無知ですが、この本の執筆後におこったリーマン破綻による大混乱のため、訳者が文中の楽観的なところを無理やりフォローしているのが笑えました。
5.0 この小冊子だけでも読む価値があります
はじめにお断りしておきますが、私は先に出版されている「波乱の時代」の上下巻の分厚い方は読んでいません。邪道かもしれませんが、しかし、より新しい情報に基づくこの「特別版」という小冊子だけでも十分読みがいがありました。もちろん、「波乱の時代」の上下巻を読んでからの方が理解は深まるかもしれませんが、そちらを読んでいないとわからないのではないか思ってこちらも敬遠されている方がいるとしたら、そのような心配をされる必要はないということはお伝えできます。

以前は神様のように言われていたグリンスパーンですが、今やあちこちから非難を浴びているのはご存じの通りです。本書も、後半はバブルを招いた責任者という批判に対する反論のように読めます。しかし、それでもやっぱり、グリーンスパンが今の世界経済の混乱をどのように見ているのかについては知る価値があるな、と思いました。しかも、FRB議長時代の発言よりもずっと、わかりやすく語っています。ページ数は少ないけれど、525円。"Newsweek"よりちょっと高く、"東洋経済"よりちょっと安いという価格帯です。

世界経済の混乱の様子が日々変わる状況を考慮すると、このような本は鮮度も非常に重要です。だから、改訂増補部分だけをこのような形で抜き出して追加出版するというのは、良いアイディアだと思います。また、これだけなら、あっという間に読めます。
4.0 読むなら早く読め!
波乱の時代からのファンです。
上・下はかなり専門的で、過去の金融史を知らなければ
読みづらい方もいたかもしれませんが、今回の特別版は
日経新聞+αの知識で読める内容となっています。
金融業界に勤める人にとってはかなり読みやすく、
また将来のビューについても共感できるのではないでしょうか。

・バブルの予兆
・リスク管理
・インフレ

どれも参考になりました。
ただ、今の状況について立場上強く発言できないことから、
個人的には少し物足りない内容な気もします。
もっとヤバイとこを掘り下げて欲しかった!
といっても、50数ページで500円とかなりお手ごろなので、
購入する価値アリだと思います。
タイトルにも書きましたが、読むなら早く読んだ方がいいです。
今の金融はとてつもないスピードで動いていますので。
5.0 只者ではない
現在の世界を覆う金融危機を語る上で、彼以上の人物は思いつかない。

かつては、聖アランとも呼ばれ、「世界経済の守護神」とも賛美された、グリーンスパン氏への批判の声が日に日に高まっている。しかし、過去20年もの間、世界が繁栄を謳歌し続けたのは、氏の類まれなる力量によることは、どんな辛口の論者でも認めざるを得ないであろう。

アラン・グリーンスパンは、かつてはジャズ・ミュージシャンを志し、ジュリアード音楽院に進み、一時はプロのサックスプレーヤーとして活躍し、その後、ニューヨーク大学で、経済を学んだと言う異色の経歴を持つ。

その後、鉄鋼関係の経営コンサルタントから、金融界に入り、87年にレーガン政権で、FRB議長に指名される。就任直後のブラックマンデーで冷静な指揮をとり、一躍彼の名は広く知られるところになった。

その後、ブッシュ父、クリントン、ブッシュJrと、四人の大統領に仕え、引退までの20年間、経済と市場と政治とマスコミの狭間で、様々な修羅場を潜り抜けてきた。

その彼が、自身の回顧録である「波乱の時代」を上梓した後、いわゆるサブプライム問題が世界を襲った。今回の特別版は、タイトルでもある、さらなる「波乱の時代」の幕開けを予言すると同時に、現在起きている様々な金融危機の本質と、その出口を考える上で、またとない良書である。

近年、グローバル化、IT化の急速な進展や、新興国の台頭、金融工学の飛躍的な発展、投資の大衆化、マスコミの影響がどんどん大きくなっていることなどによって、金融市場はますます複雑怪奇なものになり、そして、金融行政は、これから、益々舵取りが難しくなっていくであろう。

しかし、氏の過去の功績を見るにつけ、最後に問われるのは、歴史に学ぶ謙虚な姿勢と、未来を切り開く強い意志という、人間の英知であることを深く考えさせられる良書でもある。

金融危機をテーマとした書物が最近、数多く刊行されたが、多くが、学者や評論家の後講釈にすぎないものか、業界関係者のスキャンダル告発もの、などわざわざ読むに値しない書物がほとんど。個人的には、この薄い本一冊で十分であると思う。

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