大学時代にあこがれていた寝台列車にちょっぴり乗れた気分
親によく横須賀線の線路脇で電車を見せてもらいました。だからでしょうか。いまだに「電車」に乗るのも、見るのもすきです。そんなわけでこの本を買いました。 「第一の扉」はどうもある程度「車両」について予備知識がある人ならわかりやすく”話も通じる”のかもしれません。私のようにただ「電車が好き」ではちょっと店先を覗いたくらいでしょうか。車両記号など続々と出てきてそれを土台に話が展開したりなど、写真も随所にあるとはいえちょっと難しかったです。
「扉2,3」はおもしろく読めました。電車を扱ったエッセイで実際に著者の体験が生き生き伝わってきます。都電から青函連絡船まで扱っておりバラエティに富んでいます。いろいろな電車をルポしその場所や時代背景なども交え楽しい読み物です。自分も一緒に乗って旅にでかけたような気分になれました。私個人的には「長崎行き」の項目が特に気に入りました。大学で東京へ通っている頃に隣のホームで出発を待って静かにたたずんでいた「寝台列車」を懐かしく思い出しました。これに乗ると佐世保や長崎へ行けちゃうんだ、とその時に何とも言えなく心がときめいたものです。電車の好エッセイ集です。
懐かしいが若者には目新しい
本書で語られる昔の電車には懐かしいという感情では言い尽くせいない、特に、私も含めて当時を知らない若者には新鮮に映る。電車に憧れていた時代。誰もが宇宙飛行士やパイロットになりたかった時代。そんな古い話が綴られているのだが、三歳の子供でさえも公務員になりたがっているこのご時世、夢と未来が欠けていることを痛感させられると同時に、ある意味、科学への盲目的な信仰が確実に失われつつあるのは現代の利点であろうということも考えさせられる。
ともあれ、筆者の電車を見るときの純粋なまなざしは、功罪もあろうが、単純に美しい。