満足しました
著者の小説を何作か読んできたが、その声を登場人物を通してしか聞けないということに少々じれったくなり、作者がそのままに話者である当エッセーを手に取った次第。やはり、いい。エッセイ中でも、著者の男根主義的世界観への攻撃は健在だ。その視点は更に研ぎ澄まされ、通常性的なものとの関わりを切り離された「母親(母性)」や「幼児」に潜在する、隠されたエロティシズムをも浮き彫りにする。そういった鋭い指摘に我々は膝を打つのだが、その他にも、作者の趣味嗜好がよく表れたエッセイ、アナルについて書かれたエロティシズム溢れる文章もあり、楽しい。性的な主題を扱う藝術作品を評した文章に関しては、アーティストの作品世界が著者の筆によって魅惑的な広がりを見せ、我々は作品鑑賞のポイントを知ると同時に、作者の文章そのものの流麗さ、どこかエロティックな雰囲気に心地よく酔ってしまうのである。
というわけでお薦めの1冊。