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日本国憲法とは何か (PHP新書)

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日本国憲法とは何か (PHP新書)の商品レビュー

4.0 権力の割拠
明治憲法を評した箇所。
天皇の統治権の総攬のもとで、権力が分立。
各国家機関の横のつながりがないという欠陥。
だから昭和になって、権力を統括していた元老が没し、
統治の中心が消滅したという。
「権力の割拠性」が明治憲法の特徴であるという。
このことスッキリ書かれていて、興味深い。
この割拠がいまも続いているわけですね・・・。
4.0 GHQは日本国憲法を通して国体と家族の解体を目論んだ
GHQは日本国憲法を通して国体と家族の解体を目論んだと著者は言います。
憲法の精神は前文に宿っており、憲法改正においては前文を改正しなくては
意味が全く無いという見解に同意します。そもそも、GHQ占領下にあって日本
国としての主権が無い時期に、日本人の総意としての憲法が制定されること
自体国際法に抵触する暴挙です。GHQは、A級28被告の起訴を昭和天皇の
誕生日昭和21年4月29日に行い、東条英機以下7人の処刑を今上陛下の誕
生日昭和23年12月29日に実施したのです。この史実を忘れてはいけません。
5.0 憲法という不思議なもの
 戦後憲法学は革命からスタートしたことは良く知られている。八月革命説というものだ。
 現在は小熊英二にも佐藤卓巳にも政治学者批判される説だが憲法学の世界でだけは健在だ。
 本書は戦後憲法学という不思議なものを解き明かす突破口にもなるものだ。
 現在ではなかなか見かけないがソビエト法や社会主義法の強い影響のもと憲法学は形成された。
 それはまったく反論を許さないという形で展開され戦後50年間は思考停止の時代だったと言える。
 なぜか日本では社会主義法の専門家がソ連崩壊後消えやはりなぜか公法私法の専門家に移行しているのだ。
 そもそも世界で憲法学がこれほど流行っているのは日本だけという事実も知るべきだろう。
2.0 保守主義の陥穽
筆者は日本国憲法の淵源をたどり、ロックの社会契約説・アメリカ独立宣言・フランス人権宣言について概説する。それは、これらが欧米の歴史・伝統から切り離された形で成立し、その影響を受けて作られた日本国憲法もまた日本の歴史・伝統から断絶していることを示すためである。
同じくPHP新書から出されている『明治憲法の思想』に詳しいが、伊藤博文らは大日本帝国憲法の制定にあたって、立憲主義の導入を目指しながらも日本の歴史・伝統を踏まえる努力を怠らなかったことを、筆者は高く評価している。そして、それに引き換え〈押しつけ〉にすぎない日本国憲法は・・・という論調となる。
確かに、憲法は国家のコンスティテューションである以上、歴史や伝統に根付いていなければ国民に浸透しない。しかし問題は、その〈歴史〉や〈伝統〉とは何なのかということである。明治新政府は近世の封建社会と訣別すべく、王政復古という〈歴史〉を持ち出した。きわめて意図的に。それゆえに、靖国神社や御召列車といった制度を必要としたのである。
〈歴史〉や〈伝統〉とはどのようにでも語れてしまう。そして、批判を許さぬような強度を持ち合わせている。だからこそ、私たちは〈歴史〉や〈伝統〉を語る際には慎重にならなければならないのだが、保守主義の論客は、この場面で思考停止に陥る。〈歴史〉や〈伝統〉の中身を問おうとはしないのである。
そのようなもどかしさを本書から受けた。『明治憲法の思想』が好著であっただけに、非常に惜しい。いずれにしろ、公正・中立の立場から憲法改正論議を見渡すためには、西修などの別の角度から書かれた著作にあたる必要があるだろう。
2.0 ややもの足りない
 論壇の上ではいわゆる「保守派」の若手筆頭に当たる著者が、「日本国憲法」がどういう思想的文脈に位置するのかを、その成立過程や欧米政治思想の古典文献を紹介しつつ、実証的に明らかにしようと試みる。その上で、「契約国家論に基づき、日本の歴史的脈絡を無視した、アメリカの押し付け憲法」として日本国憲法を批判している。
 その批判は概ね的を射ていると思われるし、引用・参照される文献は豊富で、研究の厚みを感じさせる著作ではある。しかしよく読めば、期待したほど説得的な議論にはなっていなかったのが残念だ。
 たとえば、論述全体の保守主義的な傾きについては賛成できる点も少なくはないのだが、なぜ保守的であらねばならないのかについて著者は、「歴史の重み」を引き受けて「高貴な自由」を体現すべしといった調子の曖昧な論拠を示すだけで、あとは社会主義・共産主義に対する紋切り型の批判に終始している。
 また、たとえば「集団的自衛権」の行使を認めるべきだと主張するが、それは「諸外国から信頼を得る」ためだという。「行使容認」の結論には賛成だが、もっと内発的な動機を挙げることはできないのだろうか。
 こういった説得力のもの足りなさは、恐らく、「各論」が強固な「総論」によって基礎づけられていないことに起因しているのであろう。著者は、「保守」という思想的立場に立脚することの利点を、もっと思想的に深く、鋭く論じる必要があると思われる。新書だから分量的・内容的に制約があったのかもしれないが、そうした議論を添えるのでなければ、「ぷちナショナリスト」や右翼筋に属する読者のほかから共感を得ることはできないのではないか。

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