タイトルとは。。
改憲・護憲というタイトルでありながら、中身は憲法学説の俯瞰といった内容。法学部で憲法を学んだ人間にとってはおなじみの人物もとりあげられているが、簡単な学説紹介、憲法の歴史の中での位置付けにとどまっており、あくまで素材提供にとどまる。過去の巨匠から現在の気鋭まで豊富なラインナップであるが、やや内輪受けの印象もある。公法学会の現在の席次を遠くから眺めているような錯覚を受ける。
憲法学を学ぶ人のハンドブック
サブタイトルは「改憲・護憲をいうまえに学んでおくべきこと」ですし
「本書は、一般の市民の方々が抱く日本国憲法への関心を満たすため
関連する書物を現代から近代の欧米までさかのぼって解説する。」という
編集方針のようですが、憲法をあまり学んでいない人にはやや敷居が高いと思われます。本書は、最近活発になってきてる様々な改憲案などを紹介したり
一般向けの書籍を紹介した本ではありません。
取り上げられているのは、本格的な古典やわが国の憲法学会に一石を投じた
重要な研究書がほとんどです。
巻末にキーワードがいくつか紹介されていますが、基本的には本文中には
術語の解説はなく、ある程度憲法を学んでいないと読むのは困難だと思われます。
一方、憲法を学んだ人が本書で紹介されている著作を読む前に
予習的に読むのには適した本だといえます。
一冊を4~6Pでコンパクトに解説しています。
ただし、解説の内容は担当者によりまちまちで、読者にあまりネタバレをしないように
イントロダクション的な記述に止めるものや、全体を概説しているもの、
さらに進んで批判や今後の展望まで記したものまで様々です。
憲法のブックガイド
ホッブズ『リヴァイアサン』、美濃部達吉『憲法撮要』、芦部信喜『憲法訴訟の理論』など、憲法学を専門的に学ぶにあたっての必須基礎的な文献はもちろん、ドゥオーキン『自由の法』、長谷部恭男『憲法学のフロンティア』、阪口正二郎『立憲主義と民主主義』など、憲法学の現代的テーマを考えるための一助となるアクチュアルな著作まで、憲法学に関連する、テーマごとの41冊の名著のブックガイド。個々の著作を解説しているのは、今後学界の中心となる若手気鋭の学者たちであり、解説には原則として信頼がおける。巻末には憲法学のキーワードについて手短ながら的確な解説があり、これも参考になるだろう。41冊どの著作も「憲法学をきちんと学ぶために、最低限これだけは」という性質のものばかりである。解説されている著作そのもの自体重要だが、解説の最後に掲げられた参考文献も重要なものが多い。興味のあるテーマがあったら、そこから芋蔓式に遡って行くといいだろう。
憲法学を専攻していない人にも本書は有用と思われる。例えばGHQの占領政策を勉強している人が、とりあえず憲法の教科書を読んでから、本書で紹介されている古関彰一『新憲法の誕生』の解説文を読み『新憲法の誕生』に実際に当たるといったような使い方ができる。本書副題が「改憲・護憲をいうまえに学んでおくべきこと」とあるように、本書は、肯定的にしろ、否定的にしろ、憲法に言及するにあたって知っておくべき標準的水準の知識を手に入れて行くための指針となる(ゆめゆめ、巷間に出まわる間違いだらけの本に騙されませんように)。もちろん、法学部の院生・学部生にも有用であることは言うまでも無い。