農耕的世界観と狩猟的世界観
僕はそんなに頭が良くないので、この作品の思想的位置づけとかそういうことは、よくわかりまへん(笑)。けれど、個人的にすっごく時代劇とか歴史小説が好きなんだけど、それを読んでいていつも疑問に思っていたことがある。なぜ、蝦夷とかの狩猟や鉱山や漁撈、海運、通商みたいなテーマが、出てこないんだろうということ。網野史観じゃないけど(考えてみれば歴史家の網野さんは、中沢先生の叔父さんだな)日本は、間違いなく海洋国家だし、国の産業も住友や安田財閥を例に取るまでも無く鉱山開発は凄まじいはずなのだ。でも、稲作農耕国家というイメージが強すぎてそういう側面が消されている。網野さんの『異形の王権』ではないが、天皇という存在は、実はそういった技術者集団や狩猟民・商工民たちの!頂点という側面も思っており、後醍醐天皇は、「魔術王」としての側面を押し出して「建武の新政」を実施したのだ、というくだりは、凄くイメージをかきたてられた。こういった背景をベースに読むと、これまでの時代劇が全然違って視点で読めてくる。こういうのを小説で表現している人は、何と言っても隆慶一郎さんですね。そういう意味で、めちゃ面白かったです。