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マクルーハンと、その周辺人物が書いた論文を集めた論文集である。 原題は「コミュニケーションの探求」で、その通り、内容はコミュニケーションに関するもの多岐にわたるが、おおむね、1.印刷物が人間に与えた影響、2.電子メディアが人間に与えた影響、を考察している。 すごく大雑把にいって、文字とテレビの影響でぼくたちが事物を認識する仕方というのは ・視覚中心的(文字もテレビも目で見る) ・一時的(特にテレビは再生性がない) ・一方向的(視覚は一方向である) ・分析的(文字は訓練して分析して読めるようになる) になった。しかし、過去においては聴覚的、全時的、前方向的、感覚的な認識が主であった(現在でも前文字社会ではそうであるかもしれない)。 言われてみると確かにそうかもね、っていうことを最初に言った(らしい)マクルーハン人っていうのはやっぱりすごい。 そして、最後の論文「仏教と象徴主義」を書いた鈴木大拙もすごい。これが一番印象に残る。 <仏教徒にとって存在は意味である。存在と意味とは一つであって分離できない。分離あるいは分岐は知的作用から生じる。そして知的作用は事物の無我を損なうのである。> 普通は、ぼくたちという「存在」が「意味」を交換して「コミュニケーション」が成り立つのだけども、存在と意味を分離してはいけない、っていうのね。最後にこんな論文が載っているのがすごい。
マクルーハンを扱った本は数多く出版されていますが、値段と分かりやすさの点で、私はこの一冊を入門書としてオススメします。 マクルーハンの解説書の中には(本人の言葉よりはるかに)難解なものも多く、マクルーハンの生の言葉に触れたい者にとってはときにわずらわしく感じられることがあります。その点、この本にはマクルーハン本人の言葉が載せられているため、じっくり本人の言葉を噛み締めることができます。また、それを補足する他の学者の言葉も難解ではありません。 近年、日本でもメディア・リテラシーという言葉が聞かれるようになり、私たちを取り巻くメディアに対する関心は高まっています。巷間に溢れるメディア・リテラシーの入門書を手に取る前に、まずはこの本で「メディア」概念に触れておいてはいかがでしょうか。 この本の中で私が特に関心を持ったのは、J.M.カルキンの「マクルーハン理論とは何か」とマクルーハンの「壁の無い教室」です。学校に入学する子供たちは「白紙」で、教育の仕事はその白紙状態の人間を「人格」に育て上げることだ、と言う教師はたくさんいると思います。でも、この二つの小論文を読んだ後で、そういった教師たちは同じことを言えるのでしょうか? メディア論だけでなく、教育論の参考書としても読める本だと思います。