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巷では小林多喜二の『蟹工船』が流行っているそうですが… この本を忘れてはいけない。 労働運動、どころじゃない。 自然の本能に復し、ブルジョワ革命の屁理屈屋が捏ねあげた、肺病やみの人間の 権利などより何千倍も高貴で神性な、怠ける権利を宣言しなければならぬ。一日 三時間しか働かず、残りの昼夜は旨いものを食べ、怠けて暮らすように努めねば ならない。(本書37ページ) 働けば働くほど貧しくなる、「資本教」の神にうんざりしたあなた。 「怠惰」こそが神聖な権利だと今こそ声をあげる時です。 生産力の増大が資本家の懐を潤すだけの社会にNOを突きつけましょう。 ちなみに余談ですが、自分の娘婿の著作であるにもかかわらず、かのマルクスは終生この本を無視し続けたそうです。これが資本主義はおろか共産主義まで転覆しかねない(何しろ勤勉さそのものを否定するんですから)キワモノであることを見抜いていたんでしょうか…
一生懸命に働いてはいけない。なぜなら労働者たるもの、働けば働くだけ搾取され貧しくなるだけから。自分のために働いているつもりで、資本家たちの欲望追求の役にたっているだけだから。われわれの過剰な生産は、かれらの過剰な消費とセットになっている。テキトーに働けばいいのです。 と130年前のフランスの社会主義者(マルクスの娘婿)はいう。だから、一日に3時間以上働くなと。主張は明快。表題作以外に、資本主義は信仰にすぎないことをキリスト教のパロディとして描く「資本教」と、自分の胃袋まで資本家に売ってしまう男の悲劇を描く小説「売られた食欲」を所収。評論、パロディ、小説とジャンルも多彩で楽しめます。 もちろん、機械化による生産性向上が過剰労働力や大量の失業、貧困に直結していた当時と異なり、現代は労働者と資本家が明確に対立しているわけではないし、その後できた共産主義国家がなくなってしまったから説得力は半減。しかし、労働自体に価値を見出すことは倒錯なのだということを簡潔に、面白く伝える力は衰えていません。自殺者年間3万人の真面目すぎる島国の住民は今でもなお読みなおすべき本では。 万国の労働者よ、怠けよ?