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死体とご遺体 夫婦湯灌師と4000体の出会い (平凡社新書)

死体とご遺体 夫婦湯灌師と4000体の出会い (平凡社新書)

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死体とご遺体 夫婦湯灌師と4000体の出会い (平凡社新書)の商品レビュー

5.0 「職業に貴賎はない」を実感する一冊
亡くなった方の身体を、葬儀に際し洗い清め、死に化粧を施す…「湯灌」という仕事に対し抱くネガティブなイメージを、著者は常に読者よりも先に差し出してきます。「こう思うでしょう?確かにそうです、でも違った見方をするとこうなんですよ」という感じです。著者はあくまでビジネスとして湯灌に携わっていて、そこには悲壮感や使命感はなく、時には笑いさえ織り交ざります。亡くなった方の死出の旅への準備をしながら、ご遺族の心の準備のお手伝いをするお仕事。湯灌のイメージは、最後にはそんなふうに変わりました。
3.0 タメになるけど面白みはない「平凡社」らしい作品。そこがいいのだが…
著者の湯灌師としての経験、その経験から得られていく湯灌師としての矜持、死生観が“淡々”と綴られている。文章も内容も淡々としている。読み終わった私は、そのとおりだよなぁと“静かに”頷き、そして、もし自分や身内が死んだら、こういう人の世話になりたいなぁと思ったのだが、それ以外の感想が湧かなかった。

「湯灌師としての著者」が書いていることが正しくて、否定できるようなことがなかったからという理由のような気もするし、著者の思ったこと考えたことが、経験に基づくものであり重たいということは理解できるが、それが私の想像の範囲内だったからという理由のような気もする。

死者に対する敬意。「死」を扱う職業への偏見。考えさせられることはたくさんあってタメになる。一度は読んでみたほうがよい本だと思うが、面白みのある本ではない。

この題材であればもっと扇情的(裏話的)なエピソードの紹介を著者に要求する出版社は多いだろう。だが、そうしないのが平凡社の平凡社たる所以か…。「死」を真面目に考えたい人向きの本といえる。
4.0 死について正面から考えさせられる本
普段読むジャンルの本ではないのだが、日経ビジネスの書評欄で取り上げられていたので読んでみた。現役の湯灌師が自らの湯灌家業と、湯灌家業を続けながら考える死生観を書いている。「湯灌」とは、人が亡くなったときに最後に洗い清め、葬式に向けて身支度をする行事のことであるが、僕自身が湯灌という慣習とは縁なく来ているためか、葬儀屋のほかに湯灌師という職業があることすら知らなかった。この本を読んで、いわば人間の静脈産業たる職業について初めてきちんとした理解を得ることができた。現代資本主義においては何でもそうだが、誕生するときは尊いものとして扱われる一方で、死ぬときはなるべく人目に触れぬようにひっそりと処理される。一昔前までは生死とも同等の価値を持つものとして扱われきたはずで、それが変質したのはいつ頃からなのだろうか。昨今の子供による殺人事件の多発などを見るに、「死」という事象が軽薄化してしまっているのは、このような死の儀式すらマニュアルに沿って処理されるようになっていることと無縁ではあるまい。残念ながら、ではどうすればよいかというよい処方箋が思いつくわけではないが、せめて自分が死んだときには、筆者のような湯灌師によって心を込めて最後の身支度をしてもらいたいと思った。
5.0 一人でも多くの人に読んでもらいたい
大手でも湯灌サービスの仕事を募集してもなかなか就く人が居ないと、
著者が本の最期で書かれているが、
この仕事をこなすにはお金だけでは出来ないとこの本を読むと思わせる。
それは相手が死体だからではなく、一番難しいのは遺族が相手だからだ。
遺族の前で、遺族の心が納得して満足できる湯灌に導くことは
中途半端な気持ちでは、遺族の神経を逆なでして旨く出来ないと思う。
もちろん変死体にもプロとしての根性が必要だと思うし
その技術習得も技を必要とするのもこの本で知れる。
ただ、このご夫婦が信用を築いていけたのは、大切な家族を失った遺族を
この湯灌で慰める才能があったように感じてしまう。
このご夫婦はもちろん、これからの湯灌サービスを目指す人にも
社会からの偏見を拭うことも先決に思った。
この仕事がいかに大切な仕事かをより多くの人に知ってもらうためにも
沢山の人に読んでもらいたい。
5.0 死者への愛情
 「湯灌」とは亡くなった方を洗い清める作業のことを指すが、私達はこの作業を行う「湯灌師」に対して少なからず偏見や気味悪さをもっているというのが事実ではないでしょうか。しかし、人間の死とは万人に共通するただ一つの真理であり、避けられないからこそ、そのときのことを考えずにはいられないのです。
 この著書は「湯灌師」という職業を通じて死を現実のものとして現前化させ、現代人が失いつつある死者への敬意、人間、人生への愛情や意味を今一度考えさせてくれる非常に卓越した内容であったと思いました。
 私達はどのような形で死を迎えるのかまったく分からない訳です。例え心身ともども美しい人でさえ、事故に遭い身体が引き裂かれ、無残に死ぬ可能性すらあるのです。しかし、その人の送ってきた人生、愛情、美的な面影は永遠です。そして、それらを遺族に残すという大切な職務もこの仕事に含まれるというのです。いかえれば、亡くなった方への、つまり、神仏の世界に行く人への敬意と尊厳を守るのがこの職業の意味なのです。私達は人の心を少々軽んじてはいないだろうか。ただ職業の特殊性にのみ目を奪われてしまい、その根底に存在する人の心を見失いがちなのです。
 「湯灌」という職業は確かに、不気味かも知れません。しかし、この職業は人生を終えた人への最後の心遣いであり、私たち人間の本質にあまりにもかなった、失われてはならない職業なのです。

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