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「負けるが勝ち」の生き残り戦略―なぜ自分のことばかり考えるやつは滅びるか (ベスト新書)

「負けるが勝ち」の生き残り戦略―なぜ自分のことばかり考えるやつは滅びるか (ベスト新書)

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「負けるが勝ち」の生き残り戦略―なぜ自分のことばかり考えるやつは滅びるか (ベスト新書)の商品レビュー

5.0 生物界に学べ、弱肉強食が全てではない
生物の世界は弱肉強食である。しかしながら、生物史と言える長いスパンで捉えた場合、強いものが必ずしも長い期間生き残れるとは言えない。むしろ、環境に適合し、利他的な生き方をしている生物の方が圧倒的に長い間生きながらえている。このことを、本書は分かり易く教えてくれる。これを、人間社会で見た場合、強いものが弱いものを平気で飲み込んでしまう、行き過ぎた資本主義的活動をしている企業は、一時的には良き時代を謳歌するが、長続きはしないことを示唆している。このような意味からも、本書は、生物学の一部として捕らえることに留まらず、社会を見る参考書としても良書である。
4.0 生物が絶滅を逃れた理由を数学的に学ぶ入門書,わかりやすさは抜群
『生き残る生物,絶滅する生物』の著者のひとりで理学博士の泰中啓一氏の著書。タイトルからはわかりづらいが,数学的な論理に基づく淘汰理論から,著者が望ましいと考える生き残り戦略,ひいては対人関係のありかたを結論づけている。数学的な思考に基づくも,小学生レベルの平易な数式と表現法で構成されており,シミュレーションのグラフを含めても中学生以上であれば数時間で読破できる内容。160ページ程度の分量も大きめの文字で読みやすく少し知識があれば読破に2時間もかからない。

本書の記載は後に出版された『生き残る生物...』との重複が多いが,部分的には説明が詳しく,選挙やジャンケンなどを例示して理解しやすいように配慮されている。万人を対象とした入門書ながら,参考文献も提示されており,一部を検証した限りに於いては信頼性は高いと思う。

難点は,囚人のジレンマなどを知る者にとっては物足りないこと,やや説明不足を感じる点があることである。後者については,『負けるが勝ち』という勝者とは必ずしも一旦負けた個人が最後は勝つという意味ではなく,部分的に負けを認める戦略を認める個体のいる種族が絶滅しないという意味を含むことを明記すべきである。例えば,ある自動車製造会社が負けることによってその隙間には別の自動車会社が入り込むために,自動車産業全体が絶滅することはないが,負けた会社自身は消滅してしまうということだ。つまり,自己の滅亡と種全体の絶滅を区別して理解する必要がある。逆にいうと,各自がわがままであれば種族全体が絶滅するということを含む。それ以外にも『シカの角が大きくなったのは他のオスに勝ちたいから』という表現よりも『より大きな角のシカが高確率で子孫を残せたためにその形質が選択圧になった』の方が正しいと思う(これは他の進化論の本にも言える。アノールトカゲなどエピジェネティックな変化を除く)。細かく言えば,イクラとタラコの大きさの違いの根拠も説明不足である。

全体としては良書と思うし,著者の理念は素晴らしいと思う。学者としての業績も優れているとおもう。できれば脚注などを加えて,もう少し詳しくしてほしかった。先の難点を考慮して星4つの評価。
5.0 生物学の世界であっても、我々が学ぶべきものは多いものだと感じた。
 普段我々の生活感では、害虫がいれば駆除したくなるのは当然であるし、選挙ではスキャンダル候補がいれば落選するのは目に見えている。ところが、害虫は退治してしばらくすると、前以上に増えてしまう。スキャンダル候補も、一定期間たつと当選の確率が最も高くなるという。
 また、我々は病気を退治するために、医療を充実させてきたわけであるが、充実すればするほど病気が増えるという。
 
 本書を読み進めるうちに、今まで常識で考えられていたことが、シミュレーションや実例から、見事に覆されていく。

 進化論による自然淘汰の仕組みを、ゲーム理論によって解説しているが、短期的には相手をだます戦略が優勢を示すが、長い目で見ると「黄金律」に乗っ取った行動、すなわち、どんな人に対しても善行を行うことこそが、最も生き残る戦略であるという。

 これは、我々の日常行動にもいえるであろうし、国際関係における日本の取るべき行動にもいえるのではないか。

 生物学の世界であっても、我々が学ぶべきものは多いものだと感じた。
4.0 進化論とゲーム理論
弱いものほど生き残る。
この逆説的な思考は面白かった。
生物進化の長期的最適化がゲーム理論によって
理由づけされている。

著者の言う、
「本当に豊かな社会では、弱いものでも不安なく生きて
いける社会ではないだろうか。
負けるが勝ちの科学的事実に多くの人が気づき、
目の前の諸問題の数々に関しても短期的な応答ではなく、
長期的な視野で行動選択することが、そういう社会を実現するための
鍵になるはずである」。

これこそがこれからの私たちの生き方ではないだろうか、と
深く感銘を受けた。

競争社会で病んでいく人が多い中、
負けるが勝ち、とステージを降りて、ゆっくりと
まわりを見渡してみると、この事実に気付くのでは。
5.0 利他主義ばんざい
自分の人生を振り返ると、たいてい自分の利益のことに
懲りかたまったときには誠実な人とめぐりあわない。
 自分が汗して他者のために気もつかずに働いている、
あるいは思っているそんなときは回りを見渡せば
ほら、あの人もこの人も自分を守り立ててくれる人ばかりではないか。
 こんな単純ではないが、他社の利益を考え夜も寝ないで編んだセーター
が気に入ってくれて、という例えだが、そんなときは利益の倍返し三倍返し
となってわが身にふりかえってくる。
 そんな簡単な人情話でもなさそうだが、この複雑利己主義の社会において
案外優しい心と聡明な頭脳はきみのゆるぎない友人となってくれるだろう。
 一読をおすすめする。

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