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書店繁盛記

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書店繁盛記の商品レビュー

3.0 棚作りという言葉を覚えた
ジュンク堂が池袋に開店して以来、つまり、東京に進出して以来のベテラン店員が、Web に連載していたエッセイをまとめた本だ。

週に3回以上書店に行く本の虫としては、反対側から見た書店というのはなかなか面白かった。特に、有為の書店員の棚へのこだわりは、普段感じていた、本の選びやすい書店と選びにくい書店の違いがこのように生じるのか見えて興味深かった。

ただ、私にとっては、内容が面白い割に、引っかかるところの多い本でもあった。一点目は文章のところどころに、東京で生まれ育った人にしばしばある、地方に対する無理解 (蔑視とまでは言いません) を感じたことだ。まあ、私は大阪生まれだから、大阪は好きになれないと、もろ書かれると、多少おだやかでないものもあります。でも、それだけでなく、地方の書店などが話題に出るたびに、なんとなく、東京からの視点が感じられるのであります。

もう一点は、再販制度維持を強く訴えていること。いえ、それだけならいいのだが、著者が述べている書籍流通に関する不満のかなりの部分は、再販制度によって守られている業界であるがゆえの合理化の遅れ、ないしは、競争の欠如が原因と思える。再販制度を守れという主張も、さほど検討されることもなく、ドグマティックで、説得するつもりもなさそうだ。ちょっと、世界が狭いように思う。(ドグマティックは紛争世代の特徴?)

と、不満を述べたが、まあ、ブログをまとめたような本なのだから、ちょっと、高望みなのだろう。全体としては、本好きの人にはお薦めだ。
4.0 リアル書店で、目を肥やせ!
本好きにとっては、欲しい本がタイトルで探せるネット書店の恩恵を実感しつつも、やっぱりリアル書店はパラダイス。
ぶらぶら棚を巡りつつ、つい、無関係な本に手を出し、財布のヒモを緩めてしまったり。
思いがけぬ出会いがあるのは、リアル書店の方、である。

でも、書店員って、たいへんだ。
目前のワガママ客から、膨大な新刊物に対する一片の知識をいきなり求められたりするし、品だしや返本は、けっこうな肉体労働。レジ当番だてこなさなきゃいけないし、土日もないし、夜遅くまで開いてる書店も多い。
本書に出てくるような”社員さん”は、まだしも、バイトで働いている人が大半じゃないかな。

書物の世界から、ヒット作や文化スターが登場するのは、マスコミとリアル書店の相乗効果だと思う。
浮き足立ちすぎて、便乗本や関連本が出まくることも。
でも目利きを育てるのも、リアル書店。 田口さんは、自分の目でちゃんと見てね、と言う。
然り。それであってこそ、売れるべきものが売れ、取るに足らないものが淘汰され、文化が成熟するんだと思う。 
ネット書店も便利でいいけど、リアル書店も、どうか灯火を消さないで、がんばってほしい!!!
4.0 誰もがいい本で感動したいのです。
サラリーマン時代は、個性派で、よく上司と意見のバッティングがありました。
こんな本屋さんに勤めていたら、居心地が良くて、売り上げも伸ばせたかも知れませんね。
そう、社員の個性を殺さずに、精一杯伸ばそうとする会社って、将来性もありますね。

そういえば、最近駅前にあるK書店に行かなくなりました。
誰もが一生にそう何冊も本を読める訳でないのです。せっかく買って読む本への期待と、
いい本で感動したい道しるべも探しているのです。コミュニケーションもあったらいい
ですね。
「店員作家」という言葉もありますが、平積みの横に売り口上でなく「純粋にこの本
が好き」という個性と説得力のある書評を書いてくれたら、きっと買い求めるでしょうね。
4.0 本屋という森で書棚という木を育てる人たち
前作「風雲録」は、リブロにいた著者の視点からの70〜90年代の本をめぐる現場の記録。
本作は、その後職場はジュンク堂に変わり時代も変わったものの、やはり書店の現場からの日々のレポートをまとめたもの。
本への愛情と書店で働く人たちの思いが、率直に伝わってくる。
まえがきによれば、「全ての書店が繁盛しますように」との願いから「書店繁盛記」というタイトルはつけられたそうだ。
著者はここ数年の書店を取り巻く状況の変化を深く憂いている。
そしてこの変化がもたらす更なる状況への危機感は強い。
故に、言う。
「日本の「知の現場」の水準を維持するのは、この書店という場に来てくださる読者というお客様なのです。決して創っている人々ではありません」と。
「知の現場の水準の維持」という発想は、書店人かつ読書人ならではのものかも知れない。
5年後、10年後、人はどこでどうやって本を買うのだろうか?
5.0 本と一緒に希望を
毎日新聞の紹介記事を見て、早速、読んでみた。
日頃、ジュンク堂池袋店を愛用しているのだけれど、
その理由は、どの店員さんも感じがよいから。
駅ビルのなかにあるような、にぎわっている書店は
店員さんに殺気が漂っていて(いつも混んでいる時間帯に行くせいかも)、
聞きたいことがあっても、その隙があまりない。

ジュンク堂の書店員さんは、今までに質問した人はみな、
手をとめて、きちんと話を聞き、本のある場所に案内してくれた。
本書を読んで、そんな現場の雰囲気が、
どのように作られているのかがよくわかった。

峰岸達のイラストと、つけられているコメントも楽しい。
本好きの人なら、きっと微笑んでしまうはず。

本好きを自認する人が、書店への不満を口にしているのをよく目にするが、
現場の大変さがどれだけわかっているのかな、と、この本を読むと思う。
閉店時間が延び、過酷といっていい状況のなかで、
若い書店員が奮闘している様子には、やはり希望があると思いたい。

それにしても、著者のような上司がいたら、
本当に働きやすいだろうなあ〜、とうらやましくなった。


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