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ワーキングプア 解決への道

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ワーキングプア 解決への道の商品レビュー

5.0 最後のページの笑顔がすがすがしい
「ワーキングプア 日本を蝕む病」の続編。
前書きで、「日本を蝕む病」が実態編であるならば、
「解決への道」は解決編という位置づけ
(現にタイトルがそうなっている)として作成されたとのこと。

韓国やアメリカでの悲惨な実態も紹介されているが、
各地での解決への試みが紹介されており、これらが興味深い。
アメリカやイギリスのような、ワーキングプア問題の先進国でも
もちろん、これも社会の一断面ではあるのだろうが、
本腰を入れて支援をしているところもあるのが理解できる。

例えば、イギリスには「チャイルドトラストファンド」
(http://www.childtrustfund.gov.uk/)なる口座が、
子供本人に国から与えられるとのこと。
低所得の家庭の子供に対しては補助が与えられる、
また、特別に高い金利が付くなどの工夫がなされているほか、
本人が18歳になるまで、引き出すことが出来なくなっているという。

教育プログラムでも、ただ、教育するだけでなく、
その期間中の生活支援もきっちりされている事例が紹介される。
生活の糧を働きながら得ながら、訓練を受けるのは、
誰だって大変なものだろうから、それを軽減させてやることで、
自立できる環境に向かう確率が高まるだろうことには合理性があると思う。

前著を読まれたならば、ぜひ、本作品まで読んでみていただきたい。
最後のページ、青年(本作品で取り上げられた事例に出てくる人?)の
笑顔の写真がなんとすがすがしく、救いを見出した気がした。
5.0 外国のことと、日本のこと
前著における力の入った現場レポートに続き、ワーキングプアの問題が
諸外国でどうなっているのか、という事を述べた本なのかなと思いきや、
この話題はそんなに単純なものではないということを教えられました。

経済が破綻した韓国が今日、一人前の顔をして経済活動を行えるようになった、
その秘密が、会社の経営基盤を生かす為に、多数の労働者の生活基盤を殺してしまう、
非正規雇用の導入であったこと。
そして日本の経営者がそれを自国に移植したものが、現在の非専門職にまでわたる
非正規雇用開放政策であるということ。

イギリスでの、教育と就職支援を省レベルで一体化したワーキングプア解消
への国家を挙げての取り組みに比べ、わが国でのノーベル賞受賞者の目標数設定を行う
「教育」政策と、 雇用・能力開発機構を解体する方向でしか議論が進まない「雇用」
政策が、何ともちぐはぐなものに思えてなりません。

日本の自治体の中にも、色々特色のある取り組みがなされているところがあり、
それによって少しずつ自立の道を手繰り寄せようとされている人々の姿が描かれていますが、
そのような人々がもっと増えるよう、願うばかりです。

4.0 働けることは幸せなこと
 ワーキングプアの2作、また良書「フラット化する世界」などが示すことは、
自由資本主義の行き着く先は、安い労働力に対しての競争であり、
それが世界のどこかにある限り、常にそことの競争になるということである。

すなわち、ワーキングプアとは資本主義の抱える本質的な問題であり、
それこそ「世界がフラット化」する限り、いつか行き着く先であるということである。


では、どうすればいいか? 

本書には、いわゆるワーキングプア先進国の対応が示されている。
やはり、資本主義の構造上起きるものなら、国が対応するべき問題であることを、
まずは明言しておきたい。

そのうえで、日本の取り組みとしては、地方自治体(釧路市)やNPO(三鷹市)の
例が挙げられていた。
そこには、「働くこと」とは「生きること」、「人とのつながり」というキーワードで、
ワーキングプアであった方たちの復活の記録がつづられている。
これこそが解決の道の根底にあると私も強く感じた。

今まで感じたことはなかったが、働けることは幸せなことなんだと認識させられた。
4.0 前作より興味深い
 日本国内でワーキングプアの悲惨な実態を取材した前回とは違い、今回は海外の
事例が中心だ。
 
 韓国・アメリカ・イギリスの例を紹介する。もちろん海外の詳しい事例研究には
さらに専門書を読まなければいけない。しかし、普段あまり知ることのできない海
外でのさまざまな取り組みを知ることができた。

・(96年に融資を受けた)IMFからの厳しい圧力で韓国は「整理解雇法」と「労働者派遣法」を導入。非正社員が急増。現在では半数程度が非正社員である。

・イギリス・ブレア政権の、若者を専門対象とするハローワーク・システムなどの取り組み。

などの点が参考になった。詳しい内容は本書を読んでいただきたい。

年収は少ないが人との繋がりがある日本の若者が「自分は人との繋がりがある。そういった
意味ではワーキングプアではないのかもしれない」といったという。

そういえば現代の日本を覆っている閉塞感の原因として

・目的の喪失
・人との繋がりの喪失 を挙げている人がいた。


最近問題がクローズアップされた日本は大いに海外の事例を参考にする必要がある。
しかし、それはただ単にお金の援助をすればいいだけではないだろう。ではどうする
のか。本書はその答えを考えるうえでのきっかけを提供してくれている気がした。
4.0 思っていた以上に大変な事になっている

この本を読む前は、「何を甘えた事を言っているのだ。フリーペーパーや新聞チラシや求人誌、どれをとっても社員募集が山ほど載っているじゃないか。自分が本当に働かなければならないと思ったら、とりあえず生活するために、もしくは社会を構成する一員として、何か働くべきではないのか」
「働くところがないというのは、自分が好きな職業がないとか、楽して儲けれる職場がないなどの自分勝手な考えからではないのか」
と思っていたが、いやいやどうして、根は深いのである。

その原因・背景は「新自由主義」とか「市場原理主義」というアメリカかぶれの学者が振りまいている。本来今まで大成功していた日本のシステムを根底から覆す理論らしい。

もちろんこれを積極推進した小泉元首相や竹中さん、それを陰で操るアメリカのある特殊な層の人たちにとっては、今の状況の方が普通で、全くおかしくないと思っていると思うのだが。

この本は、日本より市場原理主義が済んでいる韓国、アメリカの実例をルポし、その対策が進んでいるイギリスや日本の釧路などの例も挙げ、最終的には日本としてどうすればいいのかの提案までしてある。

この本を読むまでは、「本人さえ何とか死ぬ気でがんばれば、何とかなるだろう」と思っていた私も、「こりゃあ、本気で国や政治が動かなければ無理だろう」という気になってきた。

まず正社員としての採用の狭さと派遣社員、日雇い派遣、パートの環境の悪さ。自分の周りにここまでの事例がないため、気づかなかったが、世の中とんでもない事になっている。今の自分の環境はあまりにもラッキーすぎるのでは…とか思ってしまう。42-3で理想の職場に転職できたのは奇跡に近かったのか?

前にも書いたが、仕事をしたい人は国が援助してでも農業をやらせたらどうだろう。これについては誰も文句を言わないと思うのだが。ただ農業するより今のままのニートやワーキングプアの状態がいいという人は別だが。

世の中とんでもない事になっているというのを、はっきり認識させてくれる問題の書。

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