居場所を見出せるような
全編、「家族」をテーマにしたお話です。正直に言って、藤沢家のお話がバラバラに収録されていて読みづらいとか、作者のエッセイ風漫画がないとか、残念なところは少々あります。
それでも。
すごく傷つくことがあって、外は冷たい雨が降っていて、芯までびしょぬれになって帰ってきたら、お母さんが温かいお味噌汁を出してくれる。ワカメは伸びきっていて、豆腐も崩れてるけど、とても美味しくて湯気が目にしみる…。
うまく言えませんが、そんな作品集です。是非、読んでみて下さい。
確かに変わりましたけど
少女まんが、と言うと一番多いのは今でも『ラブコメ』なんでしょうが、中でも「花とゆめコミックス」には、一見『ラブコメ』の中にとても『ヒューマン』を込めてしまう深い作品が多いと思います。この遠藤淑子の場合は、『ギャグ』の中に『ヒューマン』をぎっしり詰め込んでしまう、というなんとも巧みな傑作を今までは世に送り出していました。この人の『ギャグ』がなりを潜めて来たのは多分〔狼には気をつけて〕のあたりからではないでしょうか。代わりに目立ってきたのは喜怒哀楽の『哀』の部分です。それは、作者の年齢やキャリアの他に、美しい『悲劇』では済まされなくなった昨今の世の中への不条理な気持ちからではないか、と私は思います。この世はお伽話のような善と悪だけでは成り立っていない。完全なものなど無い。そんな風に感じたとしたら、必然的に、『ギャグ』と『完成度』はなりを潜め、不完全な、まるで読者への呼びかけであるかの様な今の作風に変わっていったのでは、と思います。
外国の作り話ではありません。舞台は日本、真実の『ヒューマン』です。ちょっとうすら寒くなるような考えさせられる漫画があっても、今の世の中、いいんじゃないでしょうか。
泣きたい日にオススメです
4組の家族の形が描かれたアットホームコメディです。
雑誌シルキー増刊に掲載された表題の「ファミリーアワー」シリーズが5編と、「ファミリーアワー」より3年以上前に雑誌メロディに掲載された「真夏」、そして書き下ろしショート作品「家族会議中継」が収録されています。この作者が紡ぎだす、個性的で逞しい、へこたれないキャラクター達にはいつも元気付けられます。
ただ、短編ばかりだとやはり物足りないですし、同じテーマを繰り返し別の設定で読ませられている感じもします。
どの家族にも魅力的なキャラクターが出てくるからこそ、もっと掘り下げて彼らを知りたい、もっと多くのページ数で彼らに接したい、と思わされます。
この作者の新作長編が待ち遠しいです。出版社はもっと機会を与えてくださってもいいと思います。