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りそなの会計士はなぜ死んだのか

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りそなの会計士はなぜ死んだのかの商品レビュー

1.0 ドラマチックすぎ?
本書はあくまで著者の取材に基づく推理であることに注意されたい。
昨年放送されていたNHKドラマのように
ややドラマティックな展開へ強調されすぎている感じがした。

なにより、全体として監査・会計についての誤認が散見されるのは
残念だった。
(詳しくは他の方が書かれているので、ご参照願いたい。)

著者の推理の方向性は、
「「厳格監査」をめぐる対立の中で板挟みになった結果、自殺してしまった」
ことを主眼としているが、
そもそも公認会計士監査は厳格だとか厳格ではないとかいった次元のものでない。
本書では繰延税金資産の回収可能性をめぐる葛藤が描かれているが、
これも会計基準への準拠性の問題であって、
回収可能性を認めないから厳格な監査というわけではない。

監査人が当然に発揮すべきことへの
多方向からの圧力に対する心情的な疲弊感を主眼に置くのならわかるが、
その点についての本書の展開は短絡的である。

このような、基本的な感覚のズレが
本書の読者の誤解を生む可能性があることに注意されたい。



3.0 金融再生プログラムのはざまでの悲劇の死
2003年の本である。朝日監査法人の厳格監査方針と、長年にわたる付き合いからくる、馴れ合い監査との狭間にあって、朝日監査法人のりそな銀行担当の公認会計士が自殺したとされる事件を、毎日新聞記者である山口氏が追ったものだ。

時は、まさに「金融再生プログラム」が進められていた時期。会計ルールの厳格化により、銀行を次々に破綻させ、国有化して外資に売り渡してしまおうという、平蔵の策謀であったという。

この会計士の悲劇については、当初から、他殺説がささやかれていた。従来の馴れ合い監査により、銀行を救おうとする会計士を、「みせしめ」として殺害することにより、朝日監査法人はりそな銀行の監査を降りることになり、残った新日本監査法人も、厳格監査に方針を切り替え、その結果、りそな銀行への公的資金投入、通称、「りそなショック」が生じたとするものだ。

エンロン事件のように、監査法人が関わった粉飾が明るみになると、監査法人の代表社員は無限責任を負うことになる。これも厳格監査に方針が切り替わった背景のひとつである。

本書では、他殺説における、「闇の勢力」の存在に言及しながらも、警察の聞き込みでの著者の心証や、ソースの記載されていない裏情報により、簡単に、他殺ではないと述べるにとどまっている。

そのかわり、一連の「金融危機」は「人災」であると述べ、平蔵と、日本公認会計士会長を糾弾している。それ以上の追求は、新聞記者ゆえの、著者の限界により書けなかったようだ。

自殺したとされる公認会計士を哀れみ、実家を訪ね、仏壇に手を合わせたと述べる著者。しかしこの程度の追求では、死んだものは救われないであろう。もっと踏み込んで欲しかった。
4.0 非常に読みやすい
 毎日変態新聞エコノミストの記者が書いたため、【 そこそこ会計について勉強したくらいのマスコミ人 】という視点と知識の度合が、本書を入門者や門外漢にとって非常によみやすいものとしている。
 
 
 また、(2003年出版の本にこんな評価を下すのは会計業界の流動性を言い表しているようでなんだが)会計監査業界の歴史・移り変わりを気軽に知りたい人にもお勧めである。
 
 本書で「監査業務を寡占している最大手」として挙げられている四大監査法人。
 たった5年後の今、そのうち2つの名前が、無い。
 
1.0 フィクション
工作員がよってたかって星の数を上げているが、読めば一目瞭然妄想の塊、ただの推理小説である。
4.0 犠牲になった会計士
 1995年9月に起きたあの大和銀行ニューヨーク支店の臨時巨額損失事件に端を発した「大和」の解体、改組、「りそな銀行」の発足という流れの中で一人の会計士が「自殺?」した「事件」を詳細に扱っている。やくざか絡みの噂もあった事から殺人説も浮上していたが、著者は「自殺であった!」と結論付けている。しかし、本当にそれで正しかったのか、今読み返してみると、あらためて疑問点が沸いてくるのだ。大阪堺筋本町に、当時「バブルの塔」と言われた高層本社ビルを建築した大和銀行、そのそばにある新日本監査法人が、「いい加減な監査」を「適当に」していた。その後、新日本よりはましとということで、りそなになった今はトーマツが監査をしているが、その前段階で朝日監査法人が監査をしていた。本書はそのときのお話。朝日も今は「あずさ監査法人」に名前が変わった、ああややこしい。
 会計士の「自殺」は何を意味するのか?それは、本当に「自殺」だったのか、と本書の腰巻にはある。本書は、実名の会計士、金融関係者、政治家等がふんだんに出てくる。個人的に良く知っている名前も出てくるので、良くわかることはよくわかるが、なんで、このときの教訓をその後生かさなかったのかという事をあらためて思う。その後、アメリカではエンロン、ワールド・コム、日本では西武、カネボウ等、いろんな会社のもっと性質の悪い不祥事が相次いだからだ。
 遅ればせながら日本も経営者の性悪説に立脚した会計監査を行うべき時期にきているようだ。

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