|
商品の情報
樹をみつめての商品レビュー 原定家の「風の上の星はひかりはさえながらわざともふらぬ霰をぞ聞く」という絶唱でしめる構成もいい
「戦争と平和についての観察」は『関与と観察』の中で書かれた、さまざまなトピックスをひとつにまとめたような文章。《戦争を知るものが引退するか世を去ったときに次の戦争が始まる例が少なくない》(p.56)というあきらめのような気分で書かれ、1)中クラスの国家にとどまるべきこと2)アングロサクソンを挑発しないこと3)近隣の恨みを買わないことを基本としたビスマルクを罷免したヴィルヘルム二世の政策によって、ドイツは世界大戦二連敗という唯一の体験をすることになるというあたりを力説していたのが新味。あとがきでは《日本の第二次大戦は欧州の第一次大戦に相当する。まだ、日本はほんとうの試練に逢ってないのかもしれない。歴史と地理と偶然が日本を甘やかしてきた》という悲痛な文章が書きつがれています。 「オトナ」のエッセイ集
宮崎哲弥氏の名言に「カウンセリング如きで世界を語るな!」というのがあるが、実際、精神医学の専門用語をそこここにまぶしながら、愚にも付かない駄弁を弄する精神科医には洵にうんざりさせられる。勿論、中井氏はそのような精神科医ではない。自分の専門に関する記述があっても、それは議論の土台になっていて、思索の中に溶かし込んであるのが殆どなのである。その例が本書の大論文「戦争と平和についての観察」であり、大読書家としての氏の思索力を示して圧巻だ。また、氏の敬愛する神谷美恵子についての長文の解説は、主として神谷と書物との関りを語って間然とするところがない。その他のエッセイ群についても、深い読書体験を背景にしながら、静かな口調で語られているのが印象に残る。本として美しいことも、付言しておこう。 本の最新売り上げランキング - トップ10
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||