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イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析

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イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析の商品レビュー

5.0 技術革新の成果をいかに企業収益につなげるか
企業は研究開発(Research & Development) などの活動を通じて、技術イノベーションを推進する。しかし、イノベーションの技術的成果から収益力の高い事業が生まれるのかは別問題である。イノベーションの成果をいかにして企業の高い収益に結びつけるか。技術経営(Management of Technology: MOT) におけるこの重要な課題について、本書では複数の事例分析などから議論・洞察が展開される。

特筆すべきは、著者が示す本書独自の2つの概念だ。1つは製品アーキテクチャの「利益プロファイル」(profit profile)という概念である 。もう1つは「統合型企業のジレンマ」(The Integrator's Dilemma) という概念、もしくは構造的問題とよぶべきものだ。

「利益プロファイル」についてはキヤノンのインクジェットプリンタ(BJ)事業の事例が取り上げられる。BJ のスペックやランニングコストデータの時系列分析から、獲得利益の拡大を目指すのみならず、市場での競争環境や競合との関係に即して獲得利益の圧縮することをも含めて、製品の内部構造において付加価値を移動すなわち「利益プロファイル」を改変することの可能性が示唆される。

「統合型企業のジレンマ」は日本の時計産業に起きた事象を通じて議論される。日本の時計メーカーはクオーツ式時計のイノベーションで市場を先行した。ところが、
 基幹部品の内製化→コストダウンを目指した取組み→
 部品生産の経済規模が社内需要の規模を上回る→
 部品の外販化(=外販事業は企業収益に貢献)→
 競合他社も同じ部品を使用→完成品市場での競争激化→
 完成品の収益性が悪化
という状況に陥った。こうした流れは時計産業だけでなく、近年のデジタル家電市場などにおいても容易に類例を見いだせる。各時点での意思決定/アクションには経済合理性があるがゆえに、「ジレンマ」なのだ。

本書では上記の概念や問題について、子細に分析がなされている。また他の事例でも興味深い問題が提示されている。他方、収益化につなげる具体的なHow To は提示されていない。しかし本書で提示された概念を熟慮し、そのHow To を考えることこそが、読者に課せられた宿題であろう。企業において研究開発(R&D)活動や技術経営に携わる者、もしくは技術経営論や研究開発論を学ぶ学生・研究者には必読というべき良書だ。
3.0 収益化に失敗した事例が多い
イノベーションの収益化の問題に先行研究と独自の研究をまとめた本

残念ながら,製品を考える上で当然の設計寿命など,学術上では発見でも
実務では当然の内容に1章を割いていたりして全体の内容の信憑性が
落ちている.
豊富なつっこみ所と失敗事例の多くから,収益化をもたらすための
ヒントになるのではないかと思う.



5.0 稀に見るMOTの良書
仕事上技術経営(MOT)について議論することが少なくないのですが、日本のMOTにかかわる書籍のほとんどは、流行の域を出ていないように見えます。

この書籍はその中でも例外といえる作品です。
イノベーションを収益化するための明確な答えまでは導かれていませんが、洞察が深く、実務家がしっかり読めばそのヒントが得られます。

また、前半部分にMOTとして知っておくべき知識がわかりやすい事例とともに紹介されている点も評価できます。値段は安くありませんが、その価値は十分にあります。
5.0 MOTだけではなく日本的経営全般に通じる
従来はややもすると自説を論証するために技術開発の事例を使う本が多かったが、本書では事実を基に論証を展開しており好感が持てる。最近、特に家電について同様な趣旨の出版が数多くあるが、結論が唐突で強引なものが多い中、論理の展開が自然である。その一方、結論が当たり前ではぐらかされるような気がするのはコインの他面か?事例の中では、インテルの例が特に参考になる。事業を展開する場合は、複雑な意思決定過程があり、インテルの例でもそれがよく示されている。おそらく意思決定の的確さ以上に市場環境や社内のダイナミズムが成否決定のより大きな要素になっているのであろう。本書から教訓や結論を引き出すのは、読者やコモディティ化に苦しむ日本企業の役割ではないか。
5.0 収益に繋がらない技術経営に何が必要なのか
 MOTの教科書に活用できる書籍,その割には読みやすい.値段が高いことが難点ではある(¥2,500くらいが妥当?).問題提起は収益に繋がらない技術の現状,特に今考えなくては成らない日本の物作りビジネスに焦点を当てている.第1部は戦略論の基本や技術マネージメントの基礎的な話と,最近話題となっているクリステンセンの『イノベーションのジレンマ』や東大ものづくり研究所の藤本教授が提唱する『アーキテクチャの位置取り戦略』等について解説を加えている.
 本書籍のメインと言える第2部,ベストプラクティス事例にキャノンとインテルが取り上げられているが,これはなかなか読み応えがある.特にキャノンのプリンタに関する記述はおもしろい.インテルに関しても読む価値はある.共にケース作成の参考にも成るであろう.
 最後の第3部ではイノベーションの収益化について日本の時計産業を題材に議論している.結論として,特許等を用いてイノベーションを如何に収益に結びつけるか,そのタイミングは必ずしも技術が創られるときに同定されるとは限らない.技術者は技術の本質に固執する傾向があるが,収益化を導くことができて初めて,作り出した技術がビジネスに繋がることを忘れては成らない,筆者はそんなことが言いたかったのではないだろうか?

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