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激動する東アジア情勢を背景に「大化の改新」が実行された。そして白村江敗戦の緊張の中から「壬申の乱」が戦われ、その結果、天皇を中心とする日本型の律令国家が確立した。 外圧の中から統一国家が生まれたという意味では、西洋の衝撃から明治維新が起こり「戊辰戦争」を通じて明治国家が誕生したのと同様な過程といえよう。『戦争の日本史』シリーズでも「壬申の乱」と「戊辰戦争」の両者が取り上げられている。 本書「壬申の乱」の特徴は、その行軍の経路が地図、写真を豊富に用いて経時的に詳細に語られていることである。吉野宮を脱出した大海人が着々と戦略的に手をうち、兵力を集めながら、伊賀、伊勢、美濃を経て最終的な大津京攻略の基地となった不破に至る。 著者は「壬申の乱」のルートを実際に何度も踏破されており、「壬申の乱」のルート探索に興味がある人にとっては、よきガイドブックとなるであろう。 勿論、乱の背景や原因そして乱の結果の分析も幅広く詳細に述べられており、新しい見方として興味を引く所である。しかし、乱の首謀者は鵜野皇后(持統天皇)であったという指摘はやや後知恵の歴史解釈のような気がするのだが。 「壬申の乱」というと、我々に日本書紀、万葉集に描かれる古代ロマンの世界を感じさせるものである。しかし、本書は、研究書的性格のせいもあり、ほとんどロマンを感じさせない。大海人(おおしあま)、百済(ひゃくさい)、新羅(しんら)といった耳慣れない表現も影響しているのかもしれない。また、「徴発された農民兵」といった表現に違和感を覚えるのは小生だけであろうか?