チョムスキーがイラク戦争を語る待望の書
これまでチョムスキーの本に興味を持ち何冊かの本を読んできた。この本は彼のイラク戦争をめぐる新聞記事やインタビューや講演などを集めたものである。今話題となっているイラク戦争をチョムスキーがどのように捉えているのか、イラク戦争前後2年間のサダム・フセインの拘束に至るまでの彼の発言がコンパクトにまとめられていたもので、とても興味深かった。これを読んでいると米国がいかに道理のない無謀な戦争を行っているのかが、チョムスキーの提示する厳格な事実で伝わってくる。また、国際政治の舞台の話としてではなく、私たちの日常生活でも同じようなことがあると感ぜずにはいられなかった。 チョムスキーの論文というのは一般的に難解だと言われている。確かにその通りではあるが、よくよく読むとそれほど難しいことを言っているわけではない。難しいと感じるのは、我々が日頃「メディア・コントロール」の中に生きていて、先入観で物事を見ているので、彼の主張が最初に読んだ段階で頭に入りにくいからであると思う。あるいは、信じられない(あるいは故意に伝えられていない)歴史的な事件を私たちが認識していないこともその原因になっていると思った。チョムスキーの本を読むことによって、これまでもそのような知らなかった歴史事実を私は多く発見してきたからである。
その点、本書はこれまでのチョムスキーの訳本と比べると、異例の40ページ近くの長さの解説記事が載っている。この解説記事を先に読んでから、チョムスキーの主張を読むとなるほどと納得させられることが多かった。
「予防戦争」「フランケンシュタイン・シンドローム」「イエメン効果」など耳慣れない用語も出てきたが、印象的な用語でもあった。いずれにしても、チョムスキーの教養の深さや正義を求める徹底的な生き方やその誠実さを肌で感じる本であった。