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本書に次のような一節があります。「児童虐待施策 における保護者個人の責任性や『こころ』の問題への 過度な焦点の当て方は、こうした家族の社会経済的 な困難さや社会資源の不足の問題から、注意をそら す社会的装置にさえなりはじめている」。全く、同感 です。心当たりのある方は、反省してください。 また、こういう一節もあります。「二0年以上にわた る調査や研究を経ても、児童虐待やネグレクトが強く 貧困や低収入に結びついているという事実を超える、 児童虐待やネギレクトに関する真実はひとつもない。」 たまたま、今わたしは高齢者虐待の報告を受ける 立場にいますが、当該世帯の生活困窮を背景又は誘 因とする事例が相当数あるように思います。恐らく上 の一文の児童虐待を高齢者虐待と置き換えても、何 の不都合もないはずです。とすれば、所得保障など 生活構築の基盤整備を進めなければ、いくら立派な防 止ネットワークができてもさして実効性は上がらない でしょう。(今時貧困なんてと思う方には、例えば堤未 果『ルポ貧困大国アメリカ』を、さらにそれを原理的に 理解したいという方には、アマルティア・セン『不平等 の再検討』などをお薦めします。) 本来それを考える立場にありながら、年々削減される 社会保障財源のせいで、既存施策を守ることのみに汲 々としている方々には、何を言っても馬の耳に念仏でし ょうし、今さら言う気もありません。所詮、自分達ででき ることから進めていく他ないと覚悟は決めています。な お、前掲書などは、湯浅誠『反貧困』(岩波新書2008) に教示を受けました。感謝します。
授業で取り上げられて読んだけど、確かに本の前書きにあることが詳細に書かれている。大学の研究者と現場の人の組み合わせも面白い。 今という時代にぴったりの内容だし、虐待のことを学んでいる学生や現場で家族や子どもたちに援助をしている人たちにも読んでほしい本。 でも、反論も多いと思う。逆にこの本に対する反論を期待する気持ちが私の一番の読後感かな。 特に、自らの虐待経験や虐待をしてしまいそうな感情に悩んでいる人たちが読んだら、どう思うだろうか? そんな意味でも、もっと理論的に深めることも必要な気がした。