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「意識」を語るの商品レビュー
【訳者解説】は要らなかった
本書を要約すれば「気楽に読める欧米の意識研究, 権威たちとの対話集」。著者が対話相手に同じ質問を投げ掛け話を引き出してゆく。全体を通して、そうした形が取られているので分かりやすい。本書には星★★★★です。「わかりやすい」と書いておきながらレビューに最低点をつけたのは【訳者解説】に非常に問題を感じてしまったから。
訳者解説は口語体で書かれ, その点に違和感は感じなかったが。文面の〈何だか偏った嗜好〉に「なんでしょこの人?」と感じてしまって「英語ができる人みたいだけど, 訳者解説要らない…書店で読んだら買わなかった」とふと思った。最後に台なしにしている。簡単に言えば独善的な訳者主張「ぼくは世界をこう見ているけど, こう見ない人っておかしくない? 普通に考えればわかるよね」的な発言があったり押し付けがましい。
「(そんなもの[超心理学]で博士号が取れるのか!)」(p313)
と超心理学を揶揄したり…『揶揄するのは簡単だけどさ研究している人がいるわけじゃない。えっと…超心理学の何を知ってるの?』と門外漢ながら思ったり。
「一人変なことを言っているのがヴァレラだ。」(p318)
「ヴァレラの発言は, ぼくにはただの妄言としか思えない。」(p319)
と言ってみたり……『あのぉ…山形さん, あなたの持論はいいから, 機械的に解説だけしなさいな。読者は持論なんて望んでいないってばさ…』と。それで一番頂けないのは訳者解説に20頁も割いている点。
この独善的解説に20頁を割く価値がある様に思えない…
購入していないかたは知らないだろうが邦訳本に不掲載インタビューもある(PDFでWEBで読めるが)。チャーマーズが20頁といえば、どれだけ紙数を無駄にしているのか理解できる。第二版から真面目に削除を考えた方がいい気がします。訳者の事だから売れそうだと思い趣味の延長で訳したようで立ち位置があからさまに不遜なのは仕方ない事なのか。
期待したほど楽しめなかった
山形浩生がとっても頭が良くて、すご〜く英語のできる人だってことは、たぶん間違いない。海外で出版された面白そうな本を探し出してくる嗅覚も大したものだし、それを変に勿体つけないで軽快に翻訳していくところも、風通しが良くて嫌いではない。でも山形流の翻訳文体には時々「?」と感じるし、やっぱりちょっと仕事のし過ぎじゃないかとも思う。
本書は山形と守岡桜の共訳だが、二人で「適当に手分けして翻訳をおこない、最後に山形が全体を通して統一その他をおこなっている」(p328)そうで、09年に入ってからに限っても、このコンビで既に3冊(含本書)の翻訳書が出ている。
しかし例えばペンローズの章で、“And philosophical questions were very much his concern”の「そして哲学的な質問も大いに心配していました」(p224)なんて訳は、日本語としてどうなのか? 出来の悪い中高生が直訳したみたいな文章じゃない? ま、ここまで酷いのは稀かもしれない。しかし私の印象では、本書は全体に対話の流れがすっきり呑み込みにくく、飽くまで原書を確認しないままの推測だけれど、この呑み込みにくさは多分に翻訳の質に起因するのではないか?
一方、リチャード・グレゴリーの章なんかで顕著なのだが、「どうも確信が持てませんや」とか「そりゃいろいろありますわな」とか、まあ文学作品ならアリかなと思うけど、こういう本ではちょっと翻訳者の遊び感覚が前面に出過ぎて煩わしい。
きっと原書もそう大した本ではなく、いろいろ話が聞けて面白いね、みたいな楽しみ方をすればいい内容なのだろうとは思う。翻訳者自身が「デネット以外は面白くない」(p324)なんて公言してるのに対しても、「だったら何で訳したんだ?」とは言うまい。しかし、その「ツマンナ〜イ」感のせいで訳者が本書の内容とちゃんと向き合わないまま訳し飛ばしたんだとしたら、読者を嘗め過ぎじゃないか?
一冊で、数冊分の価値あり?
以前、池谷裕二氏の『進化しすぎた脳』を読んで、
あまりのおもしろさと刺激的な内容に、これ以上の本はない!と思った。
しかし、この本は、それに匹敵するくらいおもしろい。
なにがおもしろいのか。最先端の科学者(&哲学者)たちが
「意識」について、どう考えているのかが一冊でコンパクトに
理解できる、というのも、もちろんある。
しかし、なによりもおもしろいのは、世界を代表するリーダーたちの
意見が、まったくバラバラなことである。
つまり、この分野が、いかに未知な世界なのかが、よくわかる。
「意識とは何か」に対する共通した答えは(当然)ないが、読み進めて
いくと、知識がどんどん蓄積され、さらに理解度が増し、
世界のトップ研究者たちが、現時点で何を考えているのかが
よくわかるようになる。
「意識」について興味のある人は、ぜったいにおさえておくべき一冊だと思う。
「意識」研究の大物研究者達との対談がありのままに収録された異色の1冊
本書は「問題は何ですか?人々は意識ということを特別扱いし、他の化学的、哲学的問題と違うものとしてあつがいたがりますが、どう思われますか?」というテーマで世界中の様々な学者、ノーベル受賞者と一貫性のある形で次々にインタビューをしていった内容をまとめた、他にちょっと例のない本です。
まだ定説のない分野だけに議論は百花斉放となっているが、この分野の全体像や様々な見解の相違点を浮き彫りにすることに著者は成功していると思う。著者は本書を書いた動機について「意識の原因とは何かをただ単に知りたい」と語っている。異色の本であることは確かであるが、「知とは何か」「人間の意識とは何か」ということに興味のある方には実に興味深い1冊であることは間違いありません。
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