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心が脳を変える―脳科学と「心の力」

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心が脳を変える―脳科学と「心の力」の商品レビュー

5.0 意志の習慣化が脳に影響を及ぼす考察
人の思いは、どこから発生するのだろうか。
脳で、喜怒哀楽を感じるのだけど、創造的な思考やヤル気は、どうなんだろう。
心と脳では、何かが違うのだろうか。

脳に蓄積された体験や知識が判断基準になり、僕らは行動している。
しかし、その脳に、心は、どんな影響をしているのか。
科学的な視点で解き明かそうとしているのが本書である。

p45 ノーベル賞を受賞した神経生理学者ロジャー・スペリーは、五四年から亡くなる九四年までカリフォルニア工科大学で教えていた。(中略)スペリーは死に先立つ何年か、心の力がニューロンの電気化学的活動をかたちづくる動因となるのではないかと示唆した。

p175 わたしはいま、理論物理学とはじつは哲学であると確信している。
    マックス・ボルン『私の物理学と主張』

p349 パーリ語聖典のなかで、ブッダは述べている。「僧たちよ。行動とは意志である。意志をもつことで、身体や言葉や心の運動が起こる」

p368 経験と関心が神経システムの未来を変える
UCSFの二人の科学者は、人がある刺激に関心を向けると、その対象を表す大脳皮質のニューロンの活動が増大すると指摘している。だが、マーゼニックとドチャームは観察をさらに進めた。
「感覚野のニューロンの活動パターンは、関心のパターンによって変化し、受容野の測定しうる変化や個々のニューロンの調整につながる」と二人は言っている。

僕の好きな言葉に、「肉体は魂の道具である」がある。
脳が肉体なら、魂は心なのかも知れない。
心と脳を考えた、歴史に残る一冊である。
5.0 OCDは克服できる
強迫性障害についての著書「不安でたまらない人たちへ」と同じ著者ということで読みました。一日に何度も襲ってくる強迫観念から注意をそらし、関心を別な方向へ向け続けることはOCD患者にとって並大抵ではありません。「不安でたまらない人たちへ」で展開していた、四段階方式(四つのR)の更なる理論的支えとして本書は有効だと思います。また人生を生きていく上でも、脳を変えることが可能であるなら、なんと希望がわいてくることでしょうか!
5.0 気づきの力
 唯物論の還元論者は,自由意志などないという。著者は有名なリベットの実験とその解釈を紹介しながら,主張する。欲求と衝動は無意識のうちから自然に発生している。何かの活動に対する準備電位は,活動よりも500ミリ秒,意志の自覚よりも100ミリ秒は速く生じる。しかし,準備電位と活動の間で,意識された衝動に従うか,衝動を却下するか,選ぶ選択の自由がある。

 強迫性障害の人は,気づきと意志の力で,治ることができる。脅迫衝動に気づき,感情のラベルを貼り替え,衝動の原因を見直し,関心を意識的に移し,衝動にともなう価値観を変更することによって,治る。このとき自由意志の力が,意識的な努力が効いてくる。

 気づきと意志でもって病が癒えるとき,脳は変わっている。ニューロンシステムの回路が変わるだけではない。脳全体の地図が大きく書き換えられ,文字どうり物理的に変容するのだ。

 強迫性障害だけではない。子どもの言語障害の治療,脳梗塞によって麻痺した機能の回復においても,意志の力は活用され,脳が変わり,癒えてゆく。

 こうした実例をさまざまあげながら,著者は言うのだ。心は物質には還元できない。脳が心という幻想を併発するのではない。脳こそは心のこどもなのだ,と。この人間観は,倫理・道徳に関する人間への期待と信頼につらなる。

 素人にも読める脳関係の本をあれこれ読んだなかでは,ダマシオ『生存する脳』と並んで,もっとも読後感の爽快な本だった。

 

5.0 世界観を変えて物事を見ることを迫るような面白さ!
 「脳科学が発達すれば心が理解できる」とする風潮に批判的な精神神経学者の著作である。多くの研究結果を実際に提示しながら論を広げていく著者の文は、非常に分かりやすく、かつ説得力もある。
 精神科領域では、精神療法によってPETなどの画像装置で観察可能な脳の変化が起こるという話は、比較的有名である。しかし、この本に書かれていることはそれにとどまらない。トレーニングが生涯にわたって、脳の領域の割り当てが変わるていどの大きな変化を起こしうることなどにも触れられている。(ノーベル賞を受賞した有名な精神科医のカンベルもこのことを講演で取り上げており、脳科学の中でも本当に重要な知見なのだと思う。)また、量子論への言及も多く、一つの仮説としてではあろうが、世界観を変えて物事を見ることを迫るような面白さがある。
 個人的には、まず意識ありきとする西田哲学や、本書にもたびたび登場し、意志の力についての深い洞察をしているウイリアム・ジェームスの考えに、強い説得力を感じていたので、最新の知見を取り入れたうえで、主体についての考え方をわかりやすく展開しているこの本は、とても魅力的であった。精神論的なところはどこにもなく、意識や心というものの力の特徴や限界を、丁寧に描き出すことに半ば成功している良書である。
 
4.0 脳と心に興味のある方に!
今、ブームの心脳問題がテーマである。

作者のJ.SchwartzはUCLAの精神医学の教授であり、強迫性障害研究OCDの権威である。この本の中では、彼のさまざまな治療経験が描かれており、心と脳というものに興味のある人にとっては、考えさせられる内容となっている。特に、認知・行動療法によってOCDの症状を改善させ、ゲームやCDを用いて失読症を治療したという下りは興味深かった。ここでは、心=思考によって、脳に器質的な変化が生み出されたという、驚きの結果が得られている。さらに、作者は物理的な思考も取り入れ、量子脳というものについても言及している。

基本的にSchwartzは二元論支持者であり、心の力をforceと命名している。この点については、私は賛同しかねると共に、説明にあまり説得力が無かったように感じる。しかし、総体としては読みやすい文章で、二元論者もそうでない方も知的興奮を得られる一冊になっている。

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