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読了後、心がずっしり重くなります。 二日酔いになった次の日のような気分ともいえます。 しかし、なぜか後味は悪くなく、 ひとつの人生を生き切ったような充実感を感じます。 この読了感は桐野夏生を読んだ感覚に似ている。 最後は、ちょっとはっとする展開に、 良質なミステリーの要素も感じました。 この部分は、角川ホラー文庫にはいっている作品に テイストが似ているという印象です。 とにかく、この作者の次回作も読ませていただきたい。
仕事をこなすことに終始するあまり、 本来クリエイターに必要な創造力が徐々に損なわれ、 焦る主人公・高木敏光が、偶然出逢った才能ある若者Kを、 自分の影武者として利用することを思いつく―というお話。 主人公の名前は、著者と同じ。どこまでが本当でどこまでが 嘘がわからない、謎を含んだ文章と物語展開に、はらはらさせられながら、 最後まで一気に読み終えてしまいました。 ハードボイルド、ノワール的な要素を含んでいますが、 主人公が、もの作りに携わる者として、最後に到達した境地は、 どこか明るく、どこか爽やかで、ほろりときました。 ゲームを題材としていますが、ゲームを全然しない人でも楽しめます。 むしろ、ゲームやアニメーションの制作の話は、ITバブル時代に 主人公が存在したマルチメディア業界の実像を如実にあらわしている ようで、業界外の私にはとても興味深かったです。
友人のクリエータから薦められて読んだ。私は決して業界の人間ではない。またゲームも ほとんどしない。ただの本好きだ。ゲームを作った人が書いたと聞いた。それしか知らない。 手にとって読んでみた。最初は、けだるい様子の主人公の描写。話のテンポはリズミカル。 退屈な作家の小説は途中の描写をすっ飛ばして読んでしまうことがある。 高木氏の作品にはそれがない。文章の最後まで丁寧に読んだ。 途中、主人公の名前と作家の名前が同じなのに気づく。 これはノンフィクションか?と思うがいや違う。同じ名前の主人公にしたのは、 きっと意味があるのだろう。ゲームと同じように 現実と物語の境を取り払ってしまうのが目的なのかもしれないと 自分自身で推理してみた。そして、謎のKという人物。 他の登場人物はすべて名前があるのに、どうしてKなのか・・・疑問を持ちつつ、 クライマックスへ。創造するということは、どんなことでも自分を極限に 持っていくこと。それをこの物語は表現している。 赤い本を閉じた瞬間、何もかもわかった気がした。気がしただけで、 本当に何もわかってないのかもしれない。 そして再び赤い本のページをめくってみる。 ゲームのように何度も何度も繰り返し読みたくなる本。 作家高木敏光のデビュー作、私は拍手を送りたい。