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世界は「使われなかった人生」であふれてる

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世界は「使われなかった人生」であふれてるの解説

 「使われなかった人生」とは何だろう。それは、いまここにある自分の人生でなく、もう1つの可能性として「ありえたかもしれない人生」にほぼ等しい。しかし、それら2つの言葉の間には微妙な違いがある。「ありえたかもしれない人生」には手の届かない夢といった意味合いがあるが、「使われなかった人生」には具体的で実現可能な人生という意味が込められていると、著者は言う。ほんのちょっとした決断や選択で、手に入れられなかった人生。

   著者は、歳をとるにしたがって、いつの間にかそんな「使われなかった人生」を映画の中に探し求めるようになったという。ここに収められた30編の映画時評と映画にまつわるエッセイ2編では、いわゆる強くて格好いいヒーローやヒロインが主人公の映画は取り上げられていない。

   スクリーンを見つめる著者の目に留まるのは、目の前にいる少年の才能にかつての自分を投影した中年女性であり(「出発するための裏切り」)、異国の町で自らを覆っていた殻を破った女性であり(「天使が砂漠に舞い降りた」「父に焦がれて」)、かつて恋心を抱いた女性と再会した初老の男(「飛び立つ鳩を見送って」)であったりする。彼らにとって、「使われなかった人生」は未来と同じ重みを持っている。著者は、そんな彼らを静かに見つめている。ときに冷静すぎるほどの抑制された筆致をもって。(文月 達)

世界は「使われなかった人生」であふれてるの商品レビュー

5.0 渋いチョイスの映画評論
単館系の渋い映画の評論です.
もともとは「暮らしの手帳」に連載してあった? 実家で見た覚えがあります.

映画評論というと, タイアップや
思い入れありすぎて 読んで疲れるのが多いですが,
これは小説としても読めました.

いわゆるハリウッド系ではなく,
商業ベースにのるかどうか, 微妙なラインを
映画が好き という思いで作り上げた名作がそろっています.

ながい夜に. 大人のための映画の本です.
4.0 2枚目の映画評論
沢木耕太郎の映画評論。
雑誌連載の映画評からの抜粋らしいが、掲載雑誌が暮らしの手帖ってだけあって映画評に分類され切れないエッセイになっている。
沢木耕太郎については「二枚目作家」と言う印象が強く、いや容姿の問題でなくその硬派なくせに色気のある文体がまさに死滅した「二枚目」を連想させるのだが、映画を語らせてもどこまでも二枚目である。
この二枚目臭さが強力な自己愛を感じさせて辟易するときもあるのだが、一気に読まなかったおかげでその毒気に当てられずに済んだようだ。
映画の紹介の仕方は思いっきりネタバレしている。
ここまで勢いよくネタバレしておきながら作者が孤高の観察家でいるため、あくまで沢木耕太郎のエッセイであって全然映画の宣伝になっていない。見ようと思えないのだ。透明な観察者であるはずの作者がその透明な位置を常に示しているためにそっちに意識が行ってしまって、観察対象が希薄になると言う沢木作品特有の状況になってます。
なんか沢木作品を読むたびに「テロルの決算」がベストだなぁと少し寂しくなってしまうのだった。
あれ?けなしてますか?なかなかいい本だと思ったんですが、ちっともそう感じない感想になってるなー。

やはり映画を語らせたら浜村淳の右に出るものはいない。
5.0 各項のタイトル付けが巧みで見事。それだけで拍手したくなる
みていない映画をあたかも見た気分にさせてくれるユニークで際立った映画評群です。

淀川長治氏とのENCOUNTERや吉永小百合とのエピソードなどをおりまぜ、談話風に
おもしろい話を読者に知らしめてくれる部分もあり、楽しい。
ワンダーランド駅で、をよむとこの映画から村上春樹はインスピレーションを得て
あの小説を書いたのかな、とか・・・
当方にとって一番印象的だったのはウイリアムハートのところ「薄暮の虚無」。
アクシデンタルツーリストの解説。全体、作家のエッセイとして非常に秀逸です。

映画ファンのみならず、「文章」または作品を読みたい人にオススメ。
4.0 ちょっと哲学的っす
映画好き・沢木さんが好き。
というわりに、こんな本を出していたなんて、知らなかったっす。
映画の評論だけど、抑え目の静かな文体。
映画も見て、さらに原作も読んでいて、ふたつの違いがわかっているとこ。
役者の人格と、演じた役の人格と、きっちり分析しているところ。
ただ、映画を紹介しているのとも違い、
個人的なこだわりで選んだわけでもない。
ミーハーなところもないし、エンターティメント的なところもない。
まして、「この映画見なさい!」みたいなところは一切なし。
でも、読んでいると、「しまった!この映画まだ見てない」と
あせって、見なくちゃ!と思ってしまいました。

映画の評論というより、映画に表現された「人生」についての
見かたの解説本。
それが「使われなかった人生」にダブってくる。
僕は、哲学的だと思いました。
4.0 映画好きには堪えられない
沢木耕太郎作品は、どういうわけか、これまで縁がなく、初めて読んだ。
この作品は、暮らしの手帖に連載されているエッセイの単行本化だそうで、映画についてのエッセイ集である。
単行本化する際に、順番はシャッフルしたのだと思うが、広くヒットした作品から、単館上映作品なども網羅していて、映画好きの私にはなかなか面白かった。
私にとって初めての沢木耕太郎は、叙情的な文章を書く人ね、というのが強い印象。絶賛するほどの思い入れもないかわり、飽きの来ないシンプルさ、みたいなものもあって、これを機会に他の作品も読んでみようか、と思っている。

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