こういうレビューって不謹慎でしょうか
日本でブック・カバーのデザインに携わる160人について、それぞれの履歴・顔写真そして2004年に手がけた代表的作品群を紹介したカタログブック。なかなか個性的で美しい装丁をたっぷり味わえる一冊です。 この本を眺めていてあることを思い出しました。
30年以上も前にフランス人俳優アラン・ドロンが日本の女性ファン数十人と質疑応答をするというテレビ番組がありました。当時小学生だった私はこの中でとても印象深いやりとりを目にしました。
ある女性がドロンに「あなたは面食いですか」と質問。人は見かけで判断してはならないと親に言われていた私は、彼がどんな風に答えるのか興味津々でした。
ドロンは躊躇することなくこう返答したのです。
「世の中には多くの女性がいる。しかし彼女たちの内面についてはすぐには分からない。
例えば何か商品があったとして、それを宣伝する看板が美しければやはりあなたもその美しさにひかれてまず手を出すでしょう?
女性も同じ。もちろん美しいだけの女性ではダメだが、私だって最初は顔の美しさに引かれるし、それは仕方のないことだ。」
装丁とはまさに最初に読者の目に映る本の顔です。しかしその顔の美しさが本に書かれている内容の優劣を正確に反映しているわけではありません。
それでも私たちはドロンの言うようにまずその美しさに引かれ、その後にようやく中身の美しさを吟味していく場合もあるのです。場合によっては見掛け倒しの美人本という場合もあるでしょう。
ですが思い出すといいでしょう。いっとき、本の顔の美しさを愛で、確かに心ときめかしていた自分がいたことを。
だから本書を本の顔を揃えた美女名鑑として眺めるというのもまた一興だと思うのです。さまざまな“美人”に出会えるのは心浮き立つものです。
と考えるのはやはり不謹慎でしょうかね。