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20年以上前に刊行されたとは思えない斬新な歴史書。構成も秀逸だ。前半は、ひとりのインディオを通じてみたもうひとつのメキシコ現代史で、後半は、清水が前半の主人公の後裔を探しだしてオーラル・ヒストリーの手法でその続編を描いたのだ。助けてやるべき弱者の姿はそこになく、過酷な歴史に翻弄されつつも、したたかに生き抜く「敗者」の豊かなリアリティがある。本書をはじめて読んだとき、自分のなかで歴史・歴史学というものががたがたと崩れたことを覚えている。これは問題提起の書でもある。ありきたりだが、まさに不朽の名著であり、このような良質の書を丁寧に売りつづける版元にもまた大きな拍手を送りたい。
構成も秀逸だ。前半は、ひとりのインディオを通じてみたもうひとつのメキシコ現代史で、後半は、清水が前半の主人公の後裔を探しだしてオーラル・ヒストリーの手法でその続編を描いたのだ。
助けてやるべき弱者の姿はそこになく、過酷な歴史に翻弄されつつも、したたかに生き抜く「敗者」の豊かなリアリティがある。
本書をはじめて読んだとき、自分のなかで歴史・歴史学というものががたがたと崩れたことを覚えている。これは問題提起の書でもある。
ありきたりだが、まさに不朽の名著であり、このような良質の書を丁寧に売りつづける版元にもまた大きな拍手を送りたい。
本書は、第一部にリカルド・ポサスによる“フアン・ペレス・ホローテ”への聞き書き『フアン・ペレス・ホローテ』(1952)の和訳、そして『コーラを聖なる水に変えた人々』というタイトルの第二部では、フアン・ペレス・ホローテの息子“ロレンソ”への、著者清水自身によるインタビューをもとにしたオーラルヒストリーが展開されるという、とてもユニークな構成になっている。初めて本書を読んだ時、語られる内容の興味深さにはもちろんのこと、一人の人間がこれだけの歴史を語ってくれるものなのか…ということに、何より衝撃をうけた。ここ数年、オーラル・ヒストリーという聞き書きによる歴史叙述の方法が歴史学で注目されているが、本書は20年前の出版にして、そのあざやかな手法と、何より行間に顕れる“対象への誠意”のようなものに、著者の卓越した感性がにじみ出ている。「ふつうに生きるインディオの目から見た、メキシコ現代の歴史を描くこと」を試みたというこの本は、決して単なる個人2世代のバイオグラフィーではなく、もっと普遍的な広がりを持ったメキシコの歴史を描くことに成功していると言えるだろう。オーラル・ヒストリーを志す者、一度は読んでおくべき名作である。