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日本の「戦争力」

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日本の「戦争力」の商品レビュー

5.0 武装中立国を謳うなら、必ず知っておくべきこと
われわれ国民は納めた税金の使い道を監視する義務がある。防衛費編。

敗戦後の日本が憲法9条を持たされた影響で、わが自衛隊の構成は
非常にいびつなものとなっている。具体的には海軍の潜水・レーダー部門と
空軍の防御部門は引けをとらないものの、それ以外の分野では自立には程遠い構成と
なっているようだ。

また特筆すべき点は著者が軍事助言者として政府にかかわる過程で、どのような
論理武装を使って米国側を説得しているかが非常に興味深い。

普段なにかと「日本は貢献していない」と暗に言われているようで、歯がゆい思いを
している納税者のひとりとしては色々と納得がいく説明が随所にあり素直に嬉しい。

超人大陸というウェブサイトに小川先生の「日米同盟」に関する動画がアップされています。
5.0 善悪を語るならせめてこれぐらいの知識を。
憲法9条改正の是非も、自衛隊イラク派遣の是非も、実際に自衛隊がどれくらいの実力を持ち、国際社会にどれぐらいの影響を持っているか(とりわけ日米関係・アジア諸国に対して)どうかを知らずに語っても、何の根拠も無い見解やただの感情論に終わってしまう。

タイトルにある「戦争力」とは実際に戦場で戦う能力のことではなく、「世界のどこに出しても通用する議論とはどんなものかを広く読者(納税者・有権者)に知らせ、政治に国際水準を満たした政策を展開させるための環境を整えること」であると著者は定義している。
その「戦争力」を備えるべきこそが今の日本にとっての優先課題であるとし、そのために本書では自衛隊の実際の実力から、アメリカとの関係、テロ、イラク、北朝鮮問題と、こういった問題を語る際に知識として最低限持っておくべきことを非常にわかりやすく解説してある。

著者の思想に賛成するかどうかは別にしても、データ等の事実関係を知るだけで、かなり有意義なのではないか。この本を読んだ後ではマスコミで行われている議論が、それ自体成り立っていないものさえ多くあることに気づくはず(もちろんこの本に書かれていることが全て正しいとした前提、ではある)。
とにかく、しっかりとした知識を持っていない事に対して、きちんと善悪の判断がつけられるはずがないので(できたとしてもそれはすごーく小さい可能性、のはず)、アレコレ騒ぐ前にこれぐらいのことは知っとけよ、ってスタンスの本だと思う。
4.0 まず事実を基に日本の実力を冷静に見ること
 僕は、この著者の本を読むのは2冊目になりますが、冷静に事実を見ていこうという姿勢は評価でき、この本でも
その姿勢は一貫しています。
 戦争と平和が対の言葉とするならば、戦争を知らずして平和は語れない。
 タイトルは少し過激な気もしますが、日本の安全保障上軍事面から置かれた状況・実力を知って置くことの大切さ
を、Q&A形式と補足説明を加えて解説し読者が冷静な判断が出来るのに必要な知識を網羅させようとしており読み
ごたえがあります。
 自衛隊の実力分析では、軍隊は其の装備面からその性格を明らかに出来、軍事費は確かに大きいが専守防衛に限定
される装備主体で他国を侵略できる戦力投射能力(パワープロジェクション)が決定的に掛けておりそれを効果的
に説明すれば外国から脅威と見られることは避けうる。 むしろ政治としての安全保障の姿勢に一貫性のなさ等の問題の
方が大きいといえる。
 在日米軍に関する考察も、アメリカに取って日本は戦略的拠点として燃料・弾薬の集積拠点であり在日米軍基地の存在
無しに世界戦略を展開出来ない、したがって日本は重要な同盟国である。 これが日本にとって強みになりうる。
 北朝鮮問題に関しても、感情論に流されずに相手の実力を冷静に見ていく大切さを説きながらか、戦力・装備面等か
ら現実の脅威の可能性の低さ、対処の可能性が解説されています。
 最終章の日本国憲法前文と9条の解説はこういう考え方もあるのかと新しい発見でした。
 幅広く必要な知識が得られる点で読む価値のある本だと考えます。
5.0 日本は米軍が不祥事、事故を起した場合、唯一、大統領が謝罪する国だそうです
新鮮だな、と思ったのが「戦力投射能力」(Power Projection)という概念。仮に朝鮮半島を自衛隊が攻めるとすれば、1)100万人程度の陸軍を上陸させることが必要2)そのためには空母と3000機程度の航空機によって制空権をとることが必要3)しかし、そのために必要なAWACS(空中警戒管制機)が数十機、空中給油機も100機程度が必要だが、航空自衛隊が所有しているのはそれぞれ4機程度だし空母などはない、つまり敵国に戦力を投射できる能力はない、ということなんです。つまり、憲法九条を改正したいようなヒトたちは《自衛隊が、まさに憲法9条を絵にかいたような構造の軍事力であることを知らないのです》(p.58)というあたりは痛快。

 では、自衛隊は世界的にどの部分で優れているのか。それは海上自衛隊の対潜水艦戦能力と掃海能力。なぜか。米軍が自衛隊に対して、世界戦略の中で補完されるべき能力として必要だから。しかし、別に、それは自衛隊だけではなく、例えばドイツ軍は冷戦当時、東欧諸国に対抗するために戦車を中心として世界水準の陸軍だけは整備されました。《結局、日本やドイツの軍事力は、アメリカが望む部分だけは世界最高水準で整備されましたが、一人立ちができない構造》(p.51)というわけです。しかし《アメリカの同盟国のうち、アメリカと軍事的に対等だった国など存在しません。軍事面から見れば全同盟軍がアメリカのリーダーシップのもとにあり、すべてが片務条約であり、すべてが非対照的な同盟》(p.97)なのですから、それは現実として受けいれざるを得ない、と。
4.0 読んでおいてソンはない
 ベタな受験参考書みたいなQ&A方式の構成にやや抵抗感もあるが、内容は確かに充実していると思う。

 日本の軍事力は米国の世界戦略の一翼を担うという目的に特化し、単独では他国への侵略能力(=戦力投射能力)を欠く。だが米国の戦略的根拠地としての重要性は極めて高く、この立場の強さを平和主義の理想実現に向けて積極的に活用すべき(日本の原理原則と矛盾した場合の在日米軍基地の使用拒否など)、というのが著者の主張。その他、日本の危機管理の甘さ等がさまざまに指摘されている。

 ただ確認しておきたいのは、著者はいろいろ留保をつけながらも、9・11に直面したブッシュが「これは戦争だ」と叫び、アフガン攻撃、そしてイラク戦争へと雪崩れ込んでいった流れを、ほぼ全面的に肯定しているという点。さらには日本国憲法の「平和主義」を「国際平和実現に向け積極的に貢献する」という趣旨に解し、自衛隊のイラク派兵を災害出動と同列に論じようとするなど、当時の小泉政権のロジックとも共振している。イラクで大量破壊兵器が発見されなかった問題も、「結果論」の一言で片付けている(p182)。かなりの強硬派と言っていい。

 また北朝鮮に関して、ノドンが日本本土を直撃しても「国として耐えられないような損害ではありません」(p256)という認識の冷静さは信頼に値すると思う一方で、個別的な「人の死」を一般的な「数値」に変換して計算に載せようとする戦略家の思考法自体に、やはり空恐ろしさを感じる。これは、兵士を作戦遂行の駒として扱い、その命を消耗品と見る思考法と同列だろう。

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