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1万円の稿料で錚々たる面子が書評を開陳しているので、素人のマズイ書評には お呼びがかからないのかもしれない。 古林よしのり『脱・正義論』や竹田青嗣のフォロー、小浜逸郎の一連の著作、 フェミニズム陣営でも吉澤夏子のラディカル・フェミニズム批判などを知って いれば目新しい視点はない。マイノリティだから正義ではないし、胡坐をかいた 運動は退廃する。性差を完全に否定することはできないし、不毛である・・・ といったことは多くのヒトが賛同するだろう。 上記文句は画期的云々という宣伝に関してであって、それでは伏見の議論が 陳腐で不可解なものかといえばそうではない。上記の論旨であれば、 著者の欲望を読者に強制することは外れる。著者はかなり底意・・・ネタ/ベタ イロニカルな撹乱を狙ってこの本を書いた節がある(以下、深読み陰謀論)。 ターゲットは自己中の保守派である。彼らの差別問題に対する考えは上で述べた ように、この本で描かれている。さらに、「で、どうなの、どうするの?」という 問いかけが重ねられているように思われる。 差別は集団的属性対象であり、個々が自由に、というものではない。そして小宇宙 同士が平和共存する、また小宇宙と大宇宙の関係を線引きするには相互を認め合い、 問題が生じたら議論で平和的に解決するコンセンサスが前提である。 つまり、欲望問題は差別問題を解消しない(少なくとも解消しようという努力、 価値観がない)限り立ち上がらない。(自由競争を正当化するには開かれた市場や 機会均等、不正防止が条件であるように。) 自己中の動物的存在も、いやおうなく自分達が置かれている現状に引き戻される。 そこではじめて、帯の文句が皮肉まじりの本音であることに気づくのだ。