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広汎性発達障害とか自閉症とかではなく、あくまでアスペルガー症候群を正面から取り扱おうとした書である。 個人的には冒頭の「アスペルガー症候群の歴史」が目から鱗とも言うべきものであった。 ご多分に漏れず、私のアスペルガー理解もローナ・ウイングの理解を通じてのものであった。 自閉症と連続したもの、知的障害がない(もしくは軽度)の自閉症。 しかし、どうも自閉症とアスペルガー症候群は質的に違うのではないかという漠然とした感覚は持っていた。それは知的レベルからくるものかな?と思っていたが。 アスペルガーは自分の症例を発達障害と言うより人格障害としてとらえていたとは初耳であった。そして、ローナ・ウイングは自己の学説に都合のいいようにアスペルガーの学説を解釈していたとは。ローナ・ウイングの考え方自体は非常に説得力もあるものであり、私ごときが否定できるようなものでもないし、否定する気もないが、やはりあまりいいやり方とは言えない気がした。 原典に当たること、古典の重要さというものを改めて実感した。 この冒頭の章に比べると他の章が印象が薄いのは否めない。 ただ、アスペルガー症候群を持つ人々の理解と支援には不可欠な知見を様々な側面から提供しており、有益なものである。 難を挙げるとすると、編者と近い立場の人々が執筆しているため、編者のアスペルガーの学説の理解に対しての反論が見られない点である。立場を異にする専門家の意見というものも聞いてみたい。 それを除けば問題ないでしょう。専門的で難解な部分も多いですが、アスペルガー症候群について学ぼうと思う人には必携でしょう