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ほのぼのとした、子育て奮闘記のような冒頭。 そこから一転、それぞれの葛藤と現実とが交錯する。 大人から見れば、「できちゃった結婚の新婚か、くだらない」というような、そんな家族。でも違う。そこに至るまでに、大の大人が想像し得ない苦痛と葛藤とを繰り返した二人のお話。 最近描かれているような、禁断の愛とぬかしつつセックス三味の馬鹿げた恋愛物語なんかじゃない。 【何を考えているのかわからない目】をくるみは持っていた。それに、壱吾は惹かれた。「くるみのために、赤ん坊のために、責任をとるために」そう思ってやってきたと思っていた。妊娠が発覚したとき、産むのも何をするのもくるみの自由だと選択肢を与えた。自分に選択肢はなかったから。 「私が選ぶの?」 狂おしく切ない。 他人がどうこう言える立場ではないのに、何故介入しようとするのだろう。よけいなことをして、自分たちの判断は正しかったと、己の傲慢さをたたきつけるだけではないのか。 答えは、とうの昔に自分でだしている。それを誤魔化しているだけ。
最終話 集団で帰る女学生が楽しそうに帰る ところに家族3人、居合わせる。 それを眺めるくるみ 何か思うところがある模様 壱吾が心配になって 「くるみ?」 と声をかける。 くるみが、見つめ返す そして、手を取り合って終わる。 何でだろう、なんだかよく判らない。でも、通じているからこそ、こんな結末を用意したのであろう。良く考えて、なんだか判らないまま表紙を見る。 全ての答えが何となく分かった。 コマ割りが絶妙すぎて場面展開が突然だったりするため、そちらに気を取られ、くるみの表情に注目することを忘れていたのだ。たぶん、それがくるみの答えなのではと。 なんだか微妙な答えだが、私は最初、良くある教師と生徒、しかも出来ちゃった的な話で済んでいるものだと思っていた。しかし今までの、彼らの作品を見る限り、教師と生徒の愛の逃避行のような「禁断の何ちゃら」で片付けるような話にはならないだろう。見つからない答えを探して読み返すたびに何を伝えたいのか、悶々していたが、表情に着目するようになって、やっと分かるようになったと思う。 教師であった、大宮壱吾は自分の保身と相手の答えを待ちながら常に葛藤し続けている。答えが出ない問いをかけ続ける。これからも模索し続けていくだろう。答えが分かっているのに探していかなければならないもどかしさ。近くにいるはずなのに遠く感じる寂しさ。 所詮、興味本位で答えを出す問題ではないのだ。教育の場で、様々な問題が起こり、自分にいつ火の粉が降りかかるか分からない現場で何が起こってもおかしくない。いつでも起こり得る生々しい現実と戦いながら、傷ついても手に入れた光は真実と言える生き方に答えを出さなければいけない問題なのだと。重いけど避けられない、教育問題を投げかけられた。
私の中では、後味の悪い作品を描かせたらナンバー1のきづきさん。 「メイド諸君!」で油断してしまいました。 冒頭はほのぼの(ラブラブ)家族の描写。 結婚半年で初めてまともな目玉焼きが作れたとか、子供の夜泣きで夫婦ともにハードな夜を過ごすとか、そんな微笑ましいエピソードで始まります。 元教師と元生徒が学校を追われても可愛い一児を儲け、世間は厳しいながらもラブラブな毎日を送っている……と、そういう話だと思いつつ安心して読み進めました。 が、徐々に深い部分が描かれてくると、全く能天気ではいられなくなる。 最後、山を越えて二人は幸せに向かって突き進むのだ……と思いきや、くるみが見せた表情、壱吾の辛そうな目、差し出す手、モノローグ――。 全体的にはソフトながらもやはりきづき作品だった、という感じです。