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都市への/からの視線 (青弓社ライブラリー)

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都市への/からの視線 (青弓社ライブラリー)の解説

   60年代には羽仁五郎の『都市の論理』が若い読者にむさぼり読まれ、80年代には前田愛の『都市空間のなかの文学』が文学研究の枠を越えて関心を集めた。原広司の「均質空間」や磯崎新の「見えない都市」など、建築家が示した切り口も多くの刺激をもたらした。このように、各々の時代・年代にはそれぞれの実相に見合った優れた都市論が書かれ、読者の支持を得るものだ。恐らく2000年代の今であれば、グローバルな資本や情報の流出入に注目して「世界都市」やセキュリティーの問題に着目した「要塞都市」といった都市概念がもてはやされるに相違ない。

   その意味では、「世界都市」や「要塞都市」といった言葉に端的に示される、現代都市のさまざまな問題を射程に収めた本書の提起もまた、優れて現代的なものの1つである。著者はすでに『都市のアレゴリー』 『都市の比較社会学』といった都市論を著している気鋭の若手都市社会学者だが、それらの著作で発揮された鋭利な視点は、モダニズムとポストモダニズムの関係、交通空間、住居、郊外といったさまざまな切り口によって都市のアクチュアリティーを浮かび上がらせようとした今回の試みでも十分に発揮されている。寄せ集めの論文集という体裁も、議論のハイブリッド感を高めこそすれ、主張の一貫性を損ねるようなことはまったくない。

   読者は、本書を読み進めていくうち「構造」「メディア」「場」「地形」といった用語が頻出することに気づくだろう。著者が社会学者であることを考えれば当然のこととも言えるが、これらの概念によって得られた数値やデータの集積よりも、その隙間からこぼれ落ちてしまう都市の集合的な経験の方に強いこだわりを示す著者の関心の在り方は、必ずしも特定のディシプリンだけによって規定されているわけではない。本書の核心は、その集合的な経験へと迫り、著者が比喩的に「生きられる都市」と呼ぶ空間を解明することにこそ賭けられている。(暮沢剛巳)

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