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送り雛は瑠璃色の

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送り雛は瑠璃色のの商品レビュー

4.0 “瞬”と“遥”の物語
日本古来の民俗や伝承、和歌などを題材とした
純和風のゲームブックという非常に異色な作品。

かなり読者を限定しそうな題材や設定ですが、
その分、好きな人には堪らない作風だといえます。


私自身、昔から民俗学や和歌には関心があり、興味深く読んだのですが、
なにぶん、物語の展開があまりに唐突で性急。

もっとじっくり世界観を描いてほしかったというのが正直なところです。


著者も、あえて伏線を回収しない箇所をつくることで、オープンエンドな
リドルストーリーを演出する意図があったのでしょうが、それにしても、
もう少し説明が必要だったのではないかと思います。

もっと分量を多くして、小説の形態で読みたかったなあ、
などと本末転倒なことまで考えてしまいましたw



さて、本作の主要人物は、中学校の「歴史部」という部活の4人組です。

主人公の男以外は、雑学王で少しお調子者の男と知的で勝気な小動物系の女の子、
そして、ミステリアスな長い黒髪の美少女、といったキャラクター造形。

「歴史部」という部活名といい、主要人物の造形といい、
米澤穂信の《古典部》シリーズを彷彿とさせます。

米澤氏自身も「野性時代」の企画、
「米澤穂信を作った『100冊の物語』」のなかの一冊として、
本書を挙げているので、モデルにしたと考えても見当違い
ではないと思います。
3.0 良かった、といいたいところですが
以前のバージョンの愛読者だっただけに、懐かしくて涙が出ました。
みんなでサイコロを振り回していた頃が思い出されます。

「顔のない村」がないのはやはり痛い。あのエピソードが大好きでした。
作られた年代が全く違いますが、「かまいたちの夜」より緊張感があったのは(ゲームや小説も含めて)この作品だけでした。
何の前情報もなく、いきなり知らない部屋で目を覚ます、そして天井から・・・

あのエピソードがなければ、「送り雛」の意味さえ分からないのでは?
そしてプロローグとも言えるあのエピソードがなければ、主人公達に感情移入しにくいと思います。
新たにこの本を手に取る人には、どこが名著なのか分からないかもしれません。

復刊して下さったことに敬意を表して購入させて頂きましたが、やはり残念ではあります。
難しいとは思いますが、もう一度再編をご考慮いただきたいものです。
3.0 グレーな瑠璃色
『送り雛は瑠璃色の』です。「文学的」な作品です。
主人公は中学生で、冒険の舞台は自分の街の中。見慣れたはずの風景ですが、次第に怪しい側面を見せ始めます。

なんというか、ストーリーのつながりが悪く、煮え切らない感じなのですが、どうもパラグラフのリンクミスがある模様です。それを別にしても、「流れ」がどうもいまいちです。
次にどこへ行くか?「デパート」「小学校」「中学校」「橋」「神社」「海岸」などあって、どこかへ行ってちょっとしたイベントがあって、また元のパラグラフに戻る、という形式なので、ストーリーが流れる感じがなく、どれくらい進んでいるのやら……コレならゲームにせず小説の方が面白かったかも。

復刻版ですが、値段も割高ですし、その割には表紙デザインなどももう少しです。
でもやっぱり、ゲームブックという良いものが復刊されるのは、いい傾向だと思います。
3.0 ゲームブック 復刊
創土社によるゲームブック復刊シリーズの一つ

純和風の世界で起きる妖かしの世界のアドベンチャー。
ゲームブック最盛期に続々と刊行されて
埋もれてしまった作品がこうして
また日の目を見るのはうれしいことです
2.0 期待度をガッカリ度が上回った、復刊の失敗例
 この創土社版は、1990年に社会思想社から刊行された原作を改訂し、装いも新たに復刊されたものです。
 本作品のファンである私は、この創土社版が刊行されると聞いたとき、感激するとともにかなりの期待を抱きました。
そして、手に入れた創土社版の導入部を読み、その直後の見開きに「-昭和の刻に」と書かれているのを見て、思わず泣きそうになってしまいました。
ゲームブックのブームから15年以上経っていますが、本作品の社会思想社版を読んだ頃、私は主人公の瞬と同じく中学生でした。自分にとって大切な本と再会することにより、当時の思い出が甦り、感慨深いものがあったのだと思います。
 …と、そこまでは良かったのです。問題はその中身でした。
 創土社版は社会思想社版よりもパラグラフが10増えており、少しだけ新たなエピソードが加わっています。
しかし、その増補が裏目に出て、多数のパラグラフ連結ミスを招いてしまっているのです。
また、大幅に改訂を行ったせいか、文章中の誤字・脱字が目立ちます。特に酷いと思ったのは、瞬の父が瞬に各封紙を引き継ぐ場面で「九字北斗」と「弦打」の説明がまるまる抜け落ちてしまっているところです。
 改訂による弊害はゲームの部分だけでなく、物語の部分にも影響を与えています。
これは著者である思緒雄二氏のセンスの衰えによるのかもしれませんが、登場人物の一人であるカズの薀蓄がさらに冗長になっていたり、社会思想社版では意図的に古い言い回しで台詞を書いていたところを現代風に直してあったり(特にパラグラフ103は、個人的にはパワーダウンだと思いました)、舞台設定は昭和のはずなのに女子中学生が「こわれちゃった」「イケてる」「コワシ入れたい」等の言葉を使っていたりと、改良ではなく改悪としか思えない箇所が散見しています。
 復刊にあたってカバーイラストと挿絵も変えていますが、挿絵はともかくカバーの方はもう少しなんとかならなかったのか…と残念に思います。挿絵も社会思想社版の方が冷たい雰囲気で、この作品には合っていました。
それと、イメージが固定されてしまうので、できればカズやレイカの顔も社会思想社版同様に描かないでほしかったです。
 創土社の今後の刊行予定ラインナップに、門倉直人氏(実は思緒氏と同一人物らしい)の『失われた体』と『闇と炎の狩人』が入っていますが、そちらのイラストレーターも変わる可能性があるようです。
私としては、佐藤道明氏のイラストあっての魔法使いディノン・シリーズという思いが強いのですが…
いずれにしても、創土社には作品のイメージを崩さない復刊を心掛けていただきたいものです。
 社会思想社版『送り雛は瑠璃色の』は私にとって至高の一冊ですが、この創土社版には全く愛着がありません。
先に述べた理由から、創土社版ではなく社会思想社版で読むことをお薦めします。
内容的には星1つといったところですが、ゲームブックを復興させようとする思緒氏と創土社の意気込みに期待して、星2つとさせていただきます。

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