「格調」高く、「性霊」なし。
中国の明代後期、後世に「古文辞」派と称されるグループが文壇を席巻していた。
彼らは「文は必ず秦漢、詩は必ず盛唐」に帰れと主張し、その時代の作品を最高のものとした。それは一つの見解としては認められるものだが、問題は彼らが詩文の価値を決定するものを「格調」だと割り切ったことにある。この格調とは現在の日本での意味とは違う。詩文の形式的な部分を指し、リズム・詩形・修辞などを意味する。そして、彼らは格調の一番高いものが上記の詩文だと規定し、それを忠実に模倣すれば、名詩・名文が書けると主張したのである。
だがよく考えればこの主張がおかしいことはおわかりだろう。当然のことながら、詩文の良否を決定するのは格調ではなく「性霊」(精神・情緒・発想などを指す)であり、模倣では良い作品など作れないという非難がその後の時代にわきおこり、彼らは文学を貶めたとさえ言われ、世の中から消え去った。
なぜ、上記の歴史を例に挙げたのかお分かりだと思うが、本当にこの著者の主張は正しいのだろうか?著者の選んだ名文を暗誦すれば、日本語の理解力が上がるのだろうか?
前著に比べ、目新しさが感じられない!!
日本語ブームの火付け役となった『声に出して読みたい日本語』のpart2ということもあり、思わず何も考えずに購入してしまった。朗読する文が長くなった以外、特に目新しい部分も感じられないかった。もっと、前著を上回る工夫をしてほしかった。例えば、朗読CDをつける等。男文字の「漢字」、女文字の「ひらがな」が作り出した世界一美しい日本語。それだけに、日本文学は世界的に見ても、最高峰にあるといえる。厳選されているだけに、本書に収められている文書はどれも朗読・暗誦にはもってこいだ。あとは、ブーム(好評)にのらず、著者の確固たる信念をもって、厳選し、テキストを作り出してほしい。あせらず、いいテキストを作ってほしい。
CDつけて
やっと蝉丸「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」を取り上げてくれましたか。百人一首には口調のよい和歌がもっとたくさんあると思うのですが。
読者も自分なりのアンソロジーを作ってみると面白いでしょうね。
著作権の問題があるのかもしれないが、落語家・歌舞伎役者・謡曲師などプロの口演や謡いをCDで付けてくれたらいいと思う。小沢昭一の口上なんか聞いてみたいものだ。思い入れ過多の俳優の朗読は勘弁。
論語(?)とか古事記(?)などにも、古来の読み方を伝承している流派だか家元だかがあるようなことを読んだ覚えがあるのだが、そんなのも聞きたい。