永住するつもりで購入したのにローン完済時には住めなくなる?!
マンションに住んでいる人にとって、本書は、とても勉強になります。同時に、ぼんやりしていると今住んでいるマンションから追い出されるかもしれない、という危機感を呼び覚ましてくれる本でもあります。
皆さんはご存知でしたか。
マンションの所有関係を規定する法律である区分所有法は1983年と2002年の法改正で、建て替えを推進しやすいように変更されたことを。
それまでは「全員合意」が原則だったのに1983年の法改正で「五分の四以上の賛成」と条件が緩和され、2002年には客観要件を削除した区分所有法改正案が成立してしまいました。
客観要件が削除された、ということは、修理すればまだ使えるかもしれないマンションでも、「ともかく建て替えればいいじゃないか」というお金に余裕のある所有者が8割に達すると、建て替えられてしまうということです。賛成できない残りの2割の人は建て替えに伴う負担を負いきれない可能性が高く、もしも強引に建て替えが行なわれれば、参加できない人(主に高齢者)は「住宅難民」にさせられてしまうのです。
自分が高齢に達した時のことを想像すると、とても恐ろしい話です。 鉄筋コンクリートで長期間使えるはずなのに、なぜか日本のマンションは「30年」という欧米の3分の1にも満たない短い期間で破壊され新築されている、と著者は言います。大手不動産会社や建設会社の強い圧力を指摘する著者は、その元凶である田中角栄に舌鋒鋭く迫ります。
単に過去を糾弾するだけでなく、神戸震災で表面化した被災マンション建て替え問題、破壊せずに建物を再生させるリファイン建築の実例、太陽の光を利用したシステムや「無暖房住宅」、定期借地権の本来の姿など、今後の希望のタネも著者は提示しています。
著者の「スクラップ&ビルドは結局、高くつく」という主張が伝わってくる一書でした。
マンションブームだからこそ読んでほしい一冊
東京の地価が下落し、マンションの建設ラッシュとなっています。
分譲マンションの売り文句はいつでも「家賃並みのローンで
マイホーム」となっています。家賃並みの価格でローンを組むことの
メリットはリアリティを持って語られているのに対して、
建替えや修繕の費用についてのデメリットはリアリティを
持って語られていません。また、現在販売されているマンションには容積率の余裕が無いものも
多く、事例にある稲毛の団地が許容容積率の中で割り増し床を使った
建替の費用や補償の算出の仕組みは難しくなっています。
初学者にも読みやすい1冊です。
買う前に熟考を
株式投資などには二の足を踏んでも、ローンでマンションを購入することにはあまりリスクを感じない人が意外と多い。実際はその方が遥かに大きなリスクを伴うのだが・・・。 私はFPとして、本書に述べられているようなマンション問題については関心を払ってきた。その結果感じているのは、見せかけの支払いの容易さに惑わされている人が多く、10年後のことは漠然と考えていても、立替問題が現実のものとなる30年後のことを真剣に考えている人はほとんどいないという事実である。さらに問題なのは、今のマンションはほとんどが高層建築であり、階により所有者の所得に大きな差があること、そして、立て替える際に高層化してその分を分譲するという今までの手法が将来使えないことである。
結婚したから、子供ができたから、あるいは持ち家の方がなんとなく良いからという`安易'な理由でマンション購入を考えている方には、一読をお勧めしたい。そして、マンション購入の裏に存在するリスクに、冷静に目を向けていただきたい。