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プロレス暗黒の10年

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プロレス暗黒の10年の商品レビュー

5.0 プロレス好きな人みんなに読んでほしい
 わたしは「週刊ファイト」の愛読者だった。
 読み始めたころの「ファイト」は、プロレスを中心としながらボクシングや芸能記事なども扱う総合娯楽紙の趣があった。それがだんだんとプロレスだけしか扱わなくなり、表紙の紙も豪華になった。プロレス専門紙「週刊ファイト」の誕生である。後には、駅売りだけだった「ファイト」が大学の生協で買えるようにまでなった。

 わたしは「ファイト」の常連投稿者だった。三回に二回は採用され、二週に一度は掲載された。しかし、ただの一度も謝礼をいただいたことはなかった。一般紙では投稿が掲載されると図書券が送られてきたりしたのだが。(笑)

 わたしは物心ついたときからプロレスが大好きだった。関西の大学に進んだこともあって、卒業後は「ファイト」に就職できたらいいなあ、と思った。いや、「ファイト」は猪木新聞だ。馬場派のわたしはここでは肩身が狭い。ならば、「ゴング」にしようか。あそこの編集長は全日のテレビ放送の解説をやっているぐらいだから、わたしを迎え入れてくれるかもしれない――。
 そんなことを考えながら結局、“プロレスマスコミ”の“プロレス”を抜いた、ふつうのマスコミに就職した。重ねるほどでもない変遷を経て、地元紙の記者になった。しかし、それも辞めていまはもう、けっこうな年月が経つ。

 いま、こうやって井上氏の本を読むと、羨ましさと後悔が沸き立ってくる。そうだ、あのとき徹頭徹尾、プロレス記者を志していけば良かったのになあ。プロレスが一番面白かった時代に、プロレスが一番光り輝いていた時代に係わりたかったなあ。この本からは著者が十分以上に青春を満喫し、100パーセント以上の充実度で人生を駆け抜けた風景が立ち現れてくる。
 一度の人生、やはり好きなことをすべきなのだ。この本は、心のままに生きることがどれだけ素晴らしく、掛け替えのないものであるかということを教えてくれる。
4.0 あぁプロレスよ…
元「ファイト」編集長が述懐する、まさに死にゆくプロレスへの挽歌。いや、勿論プロレスはいまだに存在するのだが、自分もかつては熱狂したプロレス黄金時代の輝きは既に無い。どうしてここまで失速(というより「瓦解」)してしまったのか。それについては「2ちゃん」等でのネットで散々議論されているので、書かれている論説については慨出済みなのだが、プロレス村の住人だった人の回想だけに、直接見知ってきた事から来る実感と重みが違う。
それにしても、かつての熱烈なプロレス少年であり猪木信者だった自分が、今こうして嘆息よりも苦笑まじりに読んでしまう我が心中を省みるに、熱が冷めた(シラけた)後の心の移ろい程残酷なモノはない。
5.0 衝撃の書
いわゆる「高橋本」が出たとき、旧プロレスマスコミ(週プロ、週ゴンなど)は全てこれを無視していました。その後十年がたち、ようやく旧プロレスマスコミ側の人間がプロレスの「真実」を認めた上で著した初めての書です。その点では衝撃といっていいでしょう。
著者は「真実を書かなかったのは今でも正しかったと思っている」と言っています。これは旧プロレスファンにとっては嬉しい一言。
著者はあくまでも「総括」であり「未来への提言」ではない、と言っています。ですが「カミングアウトしてもプロレス人気は回復しない」という意見には今までの自分の考えを改めさせられました。またI編集長が「プロレスもリアルファイトを追求すべきだ」と言っていたそうですが、これも注目に値する意見でしょう。
これを機にターザン山本氏やGK金沢氏といったかつての名物記者にも、「真実」を前提とした著書を記してほしいし、また読んでみたいと思いました。
4.0 猪木に始まり、猪木に終わるのか?
 ファイト記者時代、アメリカ情報通のトップ屋として活躍し、「週刊ファイト」の最後の編集長である著者のプロレス回顧録となっています。プロレスを愛してしまったものはプロレス村から去りがたし、このプロレス村というやっかいな環境が現場でいるものと、それをメディアとして受け取るファンとの間にあった埋めがたいギャップに気づきます。プロレスとは「底が丸見えの底なし沼」のなのに、それがいったんプロレス村に迷い込んでしまうと抜け出せない底なし沼なんだなーと思います。この10年間のプロレス暴露本には少々食傷気味のプロレスファン、そしてかつてのプロレスファンにはお薦めです。構成がこの10年間の出来事が時系列で構成されているともっと「あれはこういうことだったんだ」と理解しやすかったのでは。昭和プロレスドップリだった人にはわかることも、今のプロレスファンには予備知識が必要かも。例のミスター高橋本が冒頭で取り上げられている様に、あの本がいかにプロレス業界の9.11テロ級の出来事だったのかがいまさらながらわかります。しかし、深層は猪木にあるのでは。この10年の出来事は元をたどっていくと猪木から始まっていないのか。「猪木とは何なのか」をもっと掘り下げないと、この業界の深層は見えてこないのでは。猪木が現在進行形だけにこの問題はやっかいなのはよくわかりますが。

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