教養として SNS を学ぶ本
SNS の入門書です。高度な話題に深入りすることを避けつつ、豊富な図解を添えてそつなくまとめています。本書は教養としての SNS 解説に特化しており、「最近話題の SNS を私もやってみようかな?」という一般の SNS ユーザには向きません。この点、よく注意してください。SNS について何かを語る際、本書の内容は「常識」として押えておかねばなりません。しかし SNS の一般利用者には無用の知識が大半です。ユーザ視点で重要なことは、操作方法などの解説と、コミュニティをトラブルなしで楽しく活用するコツです。本書はそこが弱いのです。
社内の情報共有に SNS を導入する予定があるなど、仕事で SNS について他人に説明しなければならない方にはお勧めの1冊です。仕事と無関係ならば、もう少しユーザ寄りの視点で書かれた後発書籍「ソーシャル・ネットワーキング・サービス 縁(えん)の手帖」を勧めます。
どこよりも早く出したことには価値がある
実際にSNSを使っていて興味をもって手に入る情報を集めている人にはあまり新鮮な話は無いと思う。
世界最大のSNSであるFriendsterが700万人という規模の話などもHotWiredで04/4の情報を既に読んでいた。
この本が04/12の出版だから最新情報が手にはいるかと思ったら同じ数字だったので残念だった。
「6次の隔たり」などのトピックスもあるが表面的すぎて、バラバシ原著の邦訳版「新ネットワーク思考」や、安田雪の「ネットワーク分析」などの方がはるかに興奮する。とはいえSNSを使ったことの無い人や、最近名前を聞くけどもどんなものなのか手にとってみたいという方には今のところコレしかないと思う。どうしても高く評価できないのが、非常に残念なのだが、中に入っている図がわかりにくい。ふつう図はグラフ化しないと分かりにくいことを図でシンプルに示すものだが、何もコンセプチュアルで無い上に、余計な図が多すぎる。結局、最後のころは図は読まずに読んだ。せっかく書籍にまでするのだから、FriendsterやGreeやMixiの誕生からの時系列による成長のグラフなども見たかった。 読んでいると、ネットで手に入る情報は集めているのだが、どれくらい出版を前提にした取材しているのだろうか?と疑問を感じた。つまりネットでググったり、加入して中を見る以上の「情報の濃さ」がほとんどないと言っていい。
もちろん著者らはSNSを記す最前線にいることになるのだろうから、次回作に期待する。そう考えれば、このタイミングで出版するベストを尽くしているのかもしれない。どこよりも早く、現時点での業界図をひととおり網羅したことには十分に価値があるし、興味をもつ人は読まないわけにいかないだろう。
ネットとリアルがSNSで交錯する予感
本書は、多分日本で出版されるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)についてのはじめてのまとまった書籍であろう。単にmixiやGreeといったさまざまなSNSの紹介にとどまらずに、最近のネットワーク思考との関連や社会学的・心理学的知見にまで背景の解説を行っている。誰かが「今このタイミングで出したことに意味がある」と言っていたが同感だ。多分、調査から執筆までかなり短い時間でなされたのではないだろうか?この期間内で行間からうかがわれるこれだけの膨大な調査をしたことはすばらしい。本書によってはじめて知ったSNSサービスもかなりあった。ただ正直、どうせ理論的な側面に触れるのならもう少し踏み込むべきだったと感じる。「ああ、そっから先がエキサイティングなのに!」という感じだ。
でもでも、なによりも自分がかかわった「ふじすえ健三さんを飲む!」OFF会についてページを割いてくれていることには深く深く評価してしまう(笑)。
それにしても、最近のSNSやブログでの動きとリアルでの人間関係の相関を見ていると、なにか日本の社会が根本のところから変わりそうな予感がある。それもものすごく若い方たちから変わりそうな感じだ。すごく期待している。