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デジタル音楽の行方

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デジタル音楽の行方の商品レビュー

4.0 変化を志向する人を勇気付ける本
「ITやデジタルネットワーク技術が音楽産業にどのような影響を与えるかをつまびらかにし、その影響をどのように捉えれば音楽産業にとってポジティブな状況に変えられるのかいくつかのプランを示し、止まらない流れに対して既存の音楽産業がいかに無駄な抵抗を行っているか指摘する。」

本書の要旨は上記の津田氏の解説が必要にして十分。ただ、上記の解説をして「あぁ、音楽業界本かぁ」と片付けるのはあまりに惜しい。
というのも、一歩引いてみると本書は素材があくまで音楽というだけで、新しい技術が生まれ、社会に影響を与え、エスタブリッシュメントがそれに抗い、最終的にはよりよい仕組に置き換わる、という「技術と変革の歴史」をつづる歴史書のような性格ももつからだ。

ラジオ・テレビの出現などを例にとり、新しい技術が如何に抵抗勢力と戦いながら世の中をよくしてきたのかが生々しく語らており、「抵抗勢力がいるのはいつものことだが、変化に抗えたためしなんかないんだ」というよう現代の挑戦者へのエールととらえることもできる。

そういう意味で「変化を志向する人を勇気付ける」というのが本書の一番の特徴という印象をうけた。

下記のような方には、是非お勧めの一冊。
・音楽業界に身をおきデジタル技術の業界へ及ぼす影響を理解したい方
・技術革新と既存の仕組の刷新の歴史を学びたい方
・エスタブリッシュメントとの戦いに辟易とし疲れ気味で、勇気付けられたい方
4.0 「水のような音楽」という概念
この本の中では音楽は本来商品ではなく、体験を提供するサービスである、
ということが何度も述べられている。

それが、レコードが出現したことで、パッケージ化された「商品」になり、
また、レコード(CD)の製造と流通には莫大な金がかかるため、
資本力を持つレコード会社の力が非常に強くなった。
昨今のデジタル音楽革命?ではファイル共有などでレコード会社の(既得)権益が
脅かされており、レコード会社は必死である・・・
という流れを解説してくれている。

著者はファイル共有しているユーザーのほとんどは金儲けなどのためではなく、
今までのCDの価格が高すぎるから自己防衛的にファイル共有に向かっており、
また、ファイル共有などの新しいテクノロジーそのものを、
より柔軟にビジネスにしていくべきだと指摘している。
イメージは「水のような音楽」で、ISPに委託するなどして
広く浅く万人からお金を徴収し、アーティストなどの権利者に分配する代わりに、
音楽の配布、コピー、共有などは自由に認めていくべきだという思想である。

以上のような興味深い内容(ほかにもいろいろ書いてあるが)なのだが、和訳が翻訳調で少々
読みにくく、冗長なところも多いので、噛み砕いて読み通すのにはしばらく時間がかかるのが難点。
5.0 音楽がモノからコトへ回帰する。より自由になる。展望・洞察に溢れる一冊。これまでの音楽の在り方に飽き足らない人に。
自分の音楽・歌をやる諸君。特に、現時点において、自分の音楽・歌の活動において、経済的に失うモノを持たない諸君。ぼくもそのような諸君の一人だ。

そのような諸君にとっての福音だ。その福音がしっかりと論理構成され、そして、様々な事例でバックアップ。

強引にまとめると以下のようになるだろうか。


・音楽は、モノのやり方で扱われるべきではなく、コトであることが本質的で
あり、本来の在り方。モノの経済性は、初期の持ち出し、高固定費を早期・着実に回収するため、短期間の大量生産、大量流通、大量広告、大量消費を必要とする。コトの経済性は、等身大、細く、長く、しぶとく、しつこくでも成り立つ。

・ライブのプロモーションというかカタログとして、ディジタルフォーマット、ファイルとしての流通は歓迎するべき。
・音楽制作のための損益分岐点はどんどん下がっている。テクノロジー、イノ
ベーションは音楽やる人間にとっての福音。
・音楽の消費のされ方も、人、タイミングにおいて、どんどん単位が小さくな
る。むしろ、小さくしていく方が無理が無い。


この書物の展望を踏まえて、音楽活動を続けることだ。

自分に言い訳無く妥協ない音楽・歌の活動を展開し、
その音源・楽曲などはどんどんフリーで公開し、
濃く、長く続く出会いの確率を高め、
制作においても配信においてもコスト性能が上がるものは積極的に取り入れ、
しぶとく、しつこく、長期に亘って続ける。

コトの展開は速い。本書で予感として語られていたことが現実となり、その現実となったことが、かなりなペースで進展している。

未来の行方を示しているのではない。現在こういうことになっているのである。


3.0 大筋は認めるが、根拠が希薄
大雑把にいえば、
1.CD販売から、音楽配信に移行する。
2.レコード会社、小売店などの中間業者が排除され、アーティストとリスナーがダイレクトで結びつく時代が来る
3.ファイル交換ソフトはテクノロジーが生んだ時代の流れであり、目の敵にしても、意味はなく、レコード会社は環境の変化を受け入れるべき



大筋は正しいとは思うながら、さまざまな疑問も残る。
解説で津田大介氏が音楽配信ならではの成功例として、世界中でダウンロードされた布袋とBOOMをあげていたが、本書では、そういった事例紹介が少なく、CDの売上げや価格など、データも非常に少ない。


全般に著者の「こうあって欲しい」という希望論と未来予想が曖昧になっている。
大きな話の流れを知るには、いいのかもしれないが、抽象的で根拠が希薄に感じられる。
よって、☆☆☆。

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