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この著者が知性を重んじない人物である事を、前もって知って置くべきだった。「経絡と指圧」と併せて五千円以上もつぎ込んでしまったのだから。東洋思想に基づいた新しい医学を創設するといっておきながら、自説を補強したい時に機械論をそのまま使う。この人物が、もし荘子を読んだ事が無かったとしたら、ヒく。 触診では進化の過程で最近出現した「判別知覚」を用いるのに対し、 指圧では「原始感覚」を使うため生命を鋭敏に感じ取るのだという論じかたをしているが、これはデカダンスである。 医学を新しい方向に発展させようと言う意気込みはかえる。しかし結果は芳しからぬものだ。ここで紹介される「体操」は全く訳がわからない。いかさま健康法に、金はともかく時間を費やすべきではない。 とはいえ、「指圧」は日本伝統の治療法であり、西洋医学の枠組みに媚びることで保身を図るべきではない、と言う主張には賛成だ。(昔の指南書には、指圧師の心構えとして興味深い事に「精神集中」が挙げられているそうだ。)しかも按摩を国家資格にさせまいとして奮闘したらしい。実こそ結ばなかったがこれは立派な社会貢献だ。 「気」を「血」「リンパ液」の流れと決して同一視しないのも頼もしい限りだ。この一点は、暗黒星雲に輝く銀河に喩えても良い。