「『土星の矢』に気を付けろ!!」
ヤマト、ガンダムがブームのころ、おこぼれに預かろうと火事場泥棒のように出現したパチモノプラモたち。模型誌でもたまにライターの趣味の範囲や古株の読者の思い出話くらいにしか顔を見せない懐かしく、ユニークな彼らの姿を記録したものが本書。架空の艦船を実在の物と同じように真面目に描かれたボックスアート、ホワイトパッケージや、80年代リアルロボットアニメ揺籃期のパッケージ特有のパネルライン、ウェザリングの効いたボックスアートが居並ぶページは一昔前の模型店の棚を思わされる懐かしさがある。が、改めて見てみるとなかなか斬新なデザインもあり、笑おうと思っていると思わぬ肩透かしを食らう事がある。その肩透かしがまた気持ちいい。
もちろん、中にはモーターボートを宇宙船として売っていたりと、とんでもないものもあるけれど、そこは遠慮なく笑ってしまいましょう。
本書の凄い所はこれらキットの埃を払って改めて日の目に当てさせたところだけでなく、新しい魅力を引き出すべく努力している事だ。アトランジャー、合体戦艦ヤマト、バイソンなどの新規作り起し作例、今日風にアレンジされたバイソンやガンガルなどのイラストも掲載。笑ったり、突っ込んだりしながらも、ふと『これのMGやHG版が出たら…』などとつい邪推させてしまう。私は20歳の大学生ですが、十分楽しませてもらえました。
良くも悪くも大らかで、プラモが少年達の娯楽だった時代がここにある。
全ての模型を愛する人達にお勧めの一著であります。