人の死だけで終わらない戦争の悲劇
本書は「シックス・センス」や「AI」で有名なハーレイ・ジョエル・オスメントが主演の映画「ぼくの神さま」の原作本である。時は第二次世界大戦。ナチス占領下のポーランドではユダヤ人狩りが始まり、ユダヤ人少年ロメックは両親と生き別れ、田舎に隠れ住むことになる。
ロメックを預かった農夫グニチオには2人の息子、ヴラデックとトロがおり、少年達は戦争の時代を懸命に生きようとする・・・
というのが話の大筋だ。
私は2年ほど前に映画を観ていたが記憶が曖昧で、本書を読みながら「あ~そういえばこうだったな」と記憶を蘇らせていく作業はとても面白かった。
まあ戦争がテーマなので内容はもちろん暗いのだが。
戦争はなんの罪もない人々(一般市民)をも巻き込んでいき、そして戦争のような厳しい状況下では純粋無垢な子供のほうが残酷になれる。
自分がこの時代に生まれていたら?そう考えながら、そして自分の少年時代を思い出しながら読んでいたらいつのまにか涙がこぼれていた。
本を読んで泣いたのは初めてかもしれない。
本書は1日で読み終えてしまったし、映画も90分と短いので長いのが苦手な人にはオススメだ。ただ、とても悲しい話だということをお忘れなく。
最後になるが、私的にトロ役のリアム・ヘス少年の演技は主演のオスメント少年を食っていたと思う。
幼い子供の目から見る世界がとても切ない
ブタより簡単に人を殺すドイツ兵。貧しい生活。虐殺が日常となる中、卑屈な大人は弱者の命を奪って金品を得る。
子供たちは残酷な場面を目の当たりにしながら、ただ為すすべもなく生きている。正しいと思うことを心の奥に隠し、悪に従わなければならない世界で、何かが「ヘン」になっていくのを感じながら。
善意も悪意も全てが「死」に向かっていった時代。悩み、傷つけられ、助けられ、必死で助けようとしながら、ただ生きる、子供の姿が描かれていました。
特に私にとっては、幼いトロがそういう全てを吸収してしまう姿がとても切ない物語でした。