+++魔法がとける前にどうぞ♪+++
いきなりだが・・・本の巻末の解説を読むと、ジム・ブラドックはそれ程名を馳せたボクサーではないとあった。ストーリーもノンフィクションがベースなので、意図して創作された派手さがあったわけでもない。が、ハートにズシリと響く何かがあった。ジム・ブラドックこそが「シンデレラワイン」な人物ではないのかと思わざるを得ない。勝手にボクシングの名作「ロッキー」と比較して悪いのだが、「ロッキー」はブラックスプロイテーション(黒人至上主義映画)なテーストからBGMにファンクスが似合うが、「シンデレラマン」にはジャズがしっくりとはまる。甘いカプチーノよりも苦みの効いたエスプレッソ。派手なトッピングのピザよりもバンズとソーセージだけのホットドッグなイメージだ。何か理由(ワケ)を会得した大人の空気感が存在する。ボクシングが全篇に渡って描かれているのだが、男らしさを全面に押し出した梶原一騎の名著「空手バカ一代」な世界観とは全く異なる。ボクシングのライセンスを剥奪され波止場での肉体労働を始めるが、毎日仕事が貰えるわけでもない・・・しかし変わらぬ暖かさで父親を待つ家族。愛らしい子供の仕草と貧困で悩むブラドックが二次関数の曲線上にあるプラス点とマイナス点の様に対比している。決して腐らずチャンスを待ち、負け試合確実なカードを受け入れるブラドック。“家族愛”を心の支えにして戦う姿こそ、暗い時代に火をともすアメリカの“象徴”であった。
ブラドックがカムバックして勝利する姿はまるで自分の事の様に嬉しいが、その背中に見える家族は“美しい”に尽きる。
ガラスで出来た忘れ物を配達してくれる著書・・・魔法がとける前に是非どうぞ♪